博物館では、館長や当館職員、大学の先生などを講師とし、それぞれの専門分野で研究していることを紹介する「博物館講座」を実施しております。中でも、東北大学東北アジア研究センター上廣歴史資料学研究部門とは連携事業の一環として、2013年度から毎年講師を派遣していただき、最新の研究成果をもとに山形県の地域史を題材としたご講演をいただいています。
6月7日(土)の第1回博物館講座では、東北大学東北アジア研究センターの荒武賢一朗教授をお招きし、「古文書から読み解く庄内大山の江戸時代」という演題でご講演いただきました。
荒武先生は古文書の分析だけでなくフィールドワークも含めて研究に取り組まれており、これまでに村山・最上地方の近世史をテーマに当館でご講演頂いております。
今回は江戸時代の古文書をもとに出羽国田村郡大山村(現:鶴岡市)の様子についてお話しいただきました。元文元年(1736)と宝暦11年(1761)にそれぞれ書かれた「村明細帳」(当時の公文書)の内容を比較しながら、大山村の人々の生活がどう変化していったのか、読み解いて頂きました。
また、当館が所蔵する長井政太郎収集資料の一部である「原田家記録」から鋳物師(金属を溶かし、鋳型に流し込んで器物を作る職人)について、その職官の由来や、彼らが造営に関わった鐘など、大山村に住んだ職人たちの歴史を知るきっかけになりました。
参加者からは「江戸時代の大山の様子が目に浮かんだ。」「村の自治や村人の息づかいまでも感じられて大変おもしろかった。」「大山地区の具体的な生活の様子を知ることができ、地域の歴史を身近に感じることができた。さらに知らない資料から産業状況などを知りたいと思う。」などといった感想が聞かれました。
次回は7月19日(土)、東北芸術工科大学の岡陽一郎先生による第2回博物館講座「近世人のみた中世ー近世人の過去認識ー」を開催します。詳しくはホームページでお知らせしておりますので、ぜひご参加ください。

