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国宝土偶「縄文の女神」展示解説会⑥

令和5年2月11日(土)
 第6回の国宝土偶「縄文の女神」展示解説会を実施いたしました。限られた時間での解説会でしたが、熱心に耳を傾けてくださいました。本年度の展示解説会はこれで終了になります。ご参加頂きました方々、本当にありがとうございました。

博物館講座⑥を開催しました(報告)について掲載しました

 博物館では、館長や当館職員、大学の先生などを講師としてお招きし、それぞれの専門分野について、分かりやすく紹介していただく「博物館講座」を年6回実施しております。

 1月21日(土)は東北大学東北アジア研究センターの野本禎司先生を講師にお招きし、第6回博物館講座を開催しました。
 講座の演題は「出羽国村山郡における旗本知行の特徴 —3000石高力家の領主支配—」です。今の深堀村・大寺村・西高楯村の三か村(現在の山辺町)に3,000石の領地を支配していた、旗本の高力家を題材として、江戸幕府の官僚制度のしくみや役人の出世についてお話しいただきました。高力家の5代長行(ながゆき)という人物は、留守居という旗本としては最高位にあたる役職まで出世したそうです。そんな高力家は幕府に出仕していたため、深堀村には来ていないそうですが、山辺の三か村の名主たちと様々なやり通りをしていたことを、当時の古文書から解説していただきました。
 江戸時代の江戸幕府の政治や、江戸と地方との関わりなどを、当館所蔵の資料も使って丁寧にお話しいただきました。ありがとうございました。

 今年度予定されていた博物館講座はすべて終了しました。今後も、各分野の専門家をお招きし、その調査・研究の成果をわかりやすく紹介していただくことで、生涯学習の機会としていただけるよう努力していきたいと思います。詳しくは4月以降に、当館ホームページ上でお知らせしますので、皆様ぜひご参加ください。

こども学芸員、博物館を紹介しました!(報告)について掲載しました

 1月9日(月・祝)「成人の日」は、無料開館日でした。そこで、山形市立第七小学校5年生の協力を受けて、博物館の資料を来館された皆様に解説していただく「こども学芸員」というイベントを開催しました。

 山形七小の5年生のみなさんは、総合的な学習の授業で県立博物館を取り上げてくださり、約半年もの間県立博物館をどうPRするかについて話し合ってくれました。今回のイベントでは、授業で学習したことを参考に、資料の解説というかたちで学芸員の仕事を体験してもらいました。休日にもかかわらず、16名の小学生が意欲的に参加してくれました。
 あわせて「わたしたちがつくる未来の博物館」というイベントを開催しました。これは、子どもたちが持っている「わたしの宝物」を博物館で展示し、一日学芸員になって解説するというものです。なかなか難しいテーマでしたが、2名の方が応募してくれました。
 今日は3連休の最終日ということもあり、また冬晴れの天気のもと、多くの来館者が来てくれました。こども学芸員たちは、事前にしっかりと調べ学習をもとに、来館者に丁寧に解説をしてくれました。中には、冬休み中に発表の練習をしてくれた子もいて、堂々と解説する姿はすばらしかったです。
 「わたしの宝物」の展示では、高校1年生が「曾祖母との思い出の絵本」を展示し、小さいときのエピソードや今はあまり会えない曾祖母への感謝の思いなどをお話ししてくれました。小学生が展示した「シーグラス」は海で拾った時の思い出などを解説していました。

 今回のイベントでは、山形市立第七小学校の先生方、保護者の皆様方からたくさんご協力いただきました。この場をお借りして感謝申し上げます。今後も、こうした行事を計画して、ホームページやツイッターでご案内したいと思いますので、ぜひご参加ください。

博物館の楽しみ方

今年ももうすぐ終わりですね。あっという間です…!
博物館では先日、プライム企画展「女神たちの饗宴」が大盛況のうちに閉展しました。
ご来館いただいた皆さま、ありがとうございました!

プライム企画展の撤収後、一時ガランとしてしまった第三展示室。しかし、現在は民俗資料の展示が復活しています!
こちらの展示も、実は企画展に負けず劣らず面白い資料だらけ!その中から少しだけご紹介します。

張子人形(とら) 
笹野彫(うさぎ)

いかがですか?どちらも伝統的な人形ですが、とっても可愛いですよね!
手づくりならではの温もりが伝わってきます。色の塗り方や彫り方など、職人技を間近で確認することもできますよ。
これらは写真ではうまく伝えられませんので、ぜひ実物をご覧いただきたいです!

「とら」は今年の干支(えと)。「うさぎ」は来年の干支ですね。
そういえば、十二支(じゅうにし)の仲間の「いのしし」は体験コーナーに剥製の展示が、第二展示室には「うし」が描かれている札の展示がある…。
博物館で十二支がそろうかも?ぜひ探してみてください!

このように、少し違う視点から見学する博物館も面白いかもしれませんね!
ルールやマナーさえきちんと守れば、博物館の楽しみ方は無限です!
ぜひ、自分だけの博物館の楽しみ方をたくさん見つけていただきたいと思います!

※ 第三展示室の民俗資料の展示は、特別展やプライム企画展開催中はご覧いただけません。ご注意ください!
※ 博物館は12月28日(水)~2023年1月4日(水)まで休館です

プライム企画展に舟形町からめがみちゃんが来てくれました!(報告)

 10月1日(土)から、博物館ではプライム企画展「女神たちの饗宴-『縄文の女神』国宝指定10周年-」を開催しております。国宝土偶「縄文の女神」が国宝に指定されてから10周年にあたるのを記念して、全国から国宝土偶(複製)を集め、5体全てを一堂に会して展示しております。
 閉展まで、あと一週間となった12月4日(日)に、なんと「縄文の女神のふるさと」舟形町から、「めがみちゃん」がかけつけてくれました。とてもかわいらしい姿で、プライム企画展を盛り上げてくれました。
 県立博物館に来てくれるのが決まったのが2日前と、急な日程だったため告知が遅れてしまいましたが、小雨が降る悪天候にもかかわらず、第4回展示解説会に参加された皆様や、近くに住む小学生など多くの方が来館して、めがみちゃんと触れ合ってもらえました。ありがとうございます。
 中には仙台市から来館されたという親子もいらっしゃいました。お母さんからは「こんなイベントがあるのは知らなかったけど、たまたま会うことができて良かった」というお話を聞くことができました。企画展最後のイベントを、楽しい思い出にしていただけたならうれしい限りです。
 縄文時代の土偶をテーマとした今年のプライム企画展、開催期間もいよいよあと1週間。12月11日(日)までの開催となります。皆様のご来館をお待ちしています。

プライム企画展記念講演会③を開催しました(報告)

 10月1日(土)から、博物館ではプライム企画展「女神たちの饗宴-『縄文の女神』国宝指定10周年-」を開催しております。国宝土偶「縄文の女神」が国宝に指定されてから10周年にあたるのを記念して、全国から国宝土偶(複製)を集め、5体全てを一堂に会して展示しております。
 11月6日(日)は、山形県埋蔵文化財センターから2名の方を講師にお招きし、「縄文の女神」が作成された縄文時代の山形造形についてお話ししていただきました。
 小林圭一氏からは「西ノ前型土偶と縄文時代中期の地域社会」と題して、村山市の西海渕遺跡に見られる環濠集落など、縄文時代中期の集落跡を取り上げ、縄文人の生活の様子や時代による変化などについて、遺跡の調査からわかったことを元にお話しいただきました。
 菅原哲文氏の演題は「山形県南部の縄文時代集落と土偶」。山形県南部の大規模な縄文集落跡である台ノ上遺跡(米沢市)を題材として、土偶や土器、住居跡、貯蔵やお墓として使われた土坑などから当時のくらしについてお話しいただきました。土偶や土器の形式を丁寧にひも解くと、北東北や北陸、関東の影響をうけていることが分かるとのことで、当時でも広い地域との交流があったことが伺えました。
 今回講師をお引き受けいただいたお二方は、山形県の埋蔵文化財の発掘調査において最前線で活躍されています。お忙しい中にもかかわらず講演をお引き受けいただきありがとうございました。たくさんの方にご参加いただき、貴重なお話を聞くことができて素晴らしい時間となりました。

プライム企画展体験イベント②を開催しました(報告)

 10月1日(土)から、博物館ではプライム企画展「女神たちの饗宴-『縄文の女神』国宝指定10周年-」を開催しております。国宝土偶「縄文の女神」が国宝に指定されてから10周年にあたるのを記念して、全国から国宝土偶(複製)を集め、5体全てを一堂に会して展示しております。
 11月23日(水・祝)は体験イベント「親子で勾玉(まがたま)をつくろう」を開催しました。今回は県立うきたむ風土記の丘考古資料館の伊藤さんにご協力いただきました。滑石(かっせき)という柔らかな石を紙やすりで削り、世界に一つの自分だけの勾玉をつくりました。
 あいにくの雨模様にもかかわらず、たくさんの方に参加してもらいました。熱心に石を削って、思い思いの勾玉をイメージして仕上げていました。最後に水の中で丁寧に削ってつるつるに磨きあげて完成させた勾玉と縄文服で、記念写真を撮る親子もたくさんいました。今年最後の祝日が、楽しい思い出になったのではないでしょうか。
 縄文時代の土偶をテーマとした今年のプライム企画展、開催期間もあとわずかとなりました。12月11日(日)までの開催となります。皆様のご来館をお待ちしています。

プライム企画展記念講演会②を開催しました(報告)

 10月1日(土)から、博物館ではプライム企画展「女神たちの饗宴-『縄文の女神』国宝指定10周年-」を開催しております。国宝土偶「縄文の女神」が国宝に指定されてから10周年にあたるのを記念して、全国から国宝土偶(複製)を集め、5体全てを一堂に会して展示しております。
 11月6日(日)は、山形県考古学会会長の阿部明彦先生をお招きし、「縄文の女神」の造形における新しい考察を紹介していただきました。
 「縄文の女神」が他の土偶に比べて赤みがかった肌色が美しく発色されていることから、化粧土による装飾が施されていること、脚部側面に見られる修復痕から丁寧につくられたこと、右脚に重心を置いて今にも前に歩き出そうとする姿を表していることなど、長年「縄文の女神」を観察してこられた阿部先生ならではのお話しを聞くことができました。また、西ノ前型土偶や鼓形の石棒の分布圏が重なることから、蔵王山麓に広がりを見せる文化圏についての考察をお話しいただきました。
 山形県の埋蔵文化財研究に長らく関わられたその経験と知識に基づくお話しは興味深く、たくさん学ばせていただきました。
 講演の後は展示室に移動し、ギャラリートークもしていただきました。お忙しいにもかかわらず、参加者の質問にもお答えいただき、楽しい時を過ごすことができました。

 次回の記念講演会③は11月20日(日)に、(公財)山形県埋蔵文化財センターの小林圭一先生、菅原哲文先生の両名をお招きして開催します。現在、埋蔵文化財調査の最前線に立たれているお二方からお話しをお聞きします。当館ホームページで募集を開始しておりますので、こちらもぜひご参加ください。

プライム企画展記念イベント「体験!縄文のくらし」を開催しました(報告)

 10月1日(土)から、博物館ではプライム企画展「女神たちの饗宴-『縄文の女神』国宝指定10周年-」を開催しております。国宝土偶「縄文の女神」が国宝に指定されてから10周年にあたるのを記念して、全国から国宝土偶(複製)を集め、5体全てを一堂に会して展示しております。
 10月29日(土)30日(日)の2日間は「東北文化の日」無料開館日でした。それに合わせて企画展の記念イベント「体験!縄文のくらし」という、縄文時代の人びとのくらしに関連して体験できるようなイベントを行いました。
 29日は「アンギン編み」「古代風ブレスレットづくり」というクラフト系のイベントでした。複数の糸を組み合わせて織りあげるため、単純な作業を繰り返す根気と努力が必要でしたが、参加した方からは「夢中になれて楽しかったです(宮城県、50代女性)」「親子で楽しく参加できました(南陽市、40代女性)」「ハンドメイドの記念品が良かった(宮城県、20代男性)」といった感想が寄せられました。
 30日は「弓矢チャレンジ」「凹み石でクルミ割り」というアクティブ系のイベントを実施しました。弓で動物の的めがけて矢を飛ばす「弓矢チャレンジ」は大人から子どもまで楽しんでいただけたようです。また、クルミを石でたたいて割る体験は普段できないためか、夢中になってくれる小学生もいました。「イノシシにあたったことがうれしかった(天童市、小学生女子)」「クルミ割りも弓矢も楽しかったです(静岡県、20代女性)」「便利な時代に生活しているので、縄文時代のくらしを自分で体感して、生きていくことの再確認になった(寒河江市、60代女性)」といった感想が寄せられました。多くの方々から楽しんでもらい、職員一同うれしく思います。
 イベントの開催にあたっては、(公財)山形県埋蔵文化財センターと山形県立うきたむ風土記の丘考古資料館の職員からご協力を頂きました。この場をお借りして御礼申し上げます。

 11月23日(水・祝)には「親子で勾玉をつくろう」も行われます。1組で2つの勾玉がつくれますので、こちらもぜひご参加ください。

来館者数2万人突破セレモニー

10月18日(火)に今年度の来館者数が2万人を突破し、記念セレモニーが行われました!
これまでにご来館いただいた皆さま、誠にありがとうございました。

2万人目のお客様は、河北町立谷地西部小学校の皆さまでした。
今回のセレモニーは教育資料館(分館)で行われ、新鮮な光景となりました。

セレモニー後、小学生の皆さまは分館職員による解説を聞きながら、興味深そうに館内の展示を見学していらっしゃいました。

なお、山形県立博物館(本館)では、12月11日(日)まで、プライム企画展「女神たちの饗宴 ―「縄文の女神」国宝指定10周年―」を開催中です。
こちらも連日多くのお客様にお越しいただき、嬉しい限りです。

本館・分館ともに皆さまのご来館を心よりお待ちしておりますので、今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

プライム企画展体験イベント①を開催しました(報告)

 10月1日(土)から、博物館ではプライム企画展「女神たちの饗宴-『縄文の女神』国宝指定10周年-」を開催しております。国宝土偶「縄文の女神」が国宝に指定されてから10周年にあたるのを記念して、全国から国宝土偶(複製)を集め、5体全てを一堂に会して展示しております。
 10月16日(日)は体験イベント「ミニチュア土偶をつくろう」を開催しました。今回は県立村山産業高等学校からご協力いただきました。電子情報科の先生・生徒のみなさんに講師をお願いして、国宝土偶「縄文の女神」の1/2サイズのぺーパークラフトをつくりました。
 3Dデータをもとに、同高校の佐藤和彦先生がデザインしたペーパークラフトは精巧なものです。佐藤先生が作り方の順番をスクリーンに示すと、6人の高校生が一つ一つ丁寧に説明してくれました。小さなお子様から大人の方まで、高校生と一緒に完成させていました。みなさん、出来上がった「縄文の女神」像にとっても喜んでくださいました。
 記念講演会のイベントは、10月29日(土)・30日(日)に「体験!縄文のくらし」が行われる予定です。両日とも「東北文化の日」に伴い無料で入館・参加できます。また、11月23日(水・祝)には「親子で勾玉をつくろう」も行われます。1組で2つの勾玉がつくれますので、こちらもぜひご参加ください。

 

博物館講座④を開催しました(報告)

 博物館では、館長や当館職員、大学の先生などを講師としてお招きし、それぞれの専門分野について、分かりやすく紹介していただく「博物館講座」を年6回実施しております。
 10月15日(土)は当館の細越林太郎研究員を講師として、第4回博物館講座を開催しました。
 講座の題材は「基礎から学ぶ身近な遺伝子の話」です。近年、iPS細胞や出生前診断、ゲノム編集など、遺伝子に関係するニュースが数多く聞かれるようになりました。遺伝子とはどういったものか、最近の研究はどのようなことが行われているのか。今回は遺伝子の基礎から丁寧に解説してもらいました。
 ゲノムや染色体、DNAといった言葉の意味といった基本的な知識から、双子や三つ子が生まれるしくみ、クローン技術についてなど、興味深い内容をできるだけわかりやすく解説してもらいました。また、「DNAを抽出してみてみよう」ということで、実際にバナナを使って実験もしました。最後にエタノールを注入すると、白いふわっとしたかたまりでDNAを取り出したところ、参加者からも驚きと感心の混じった声が聞かれました。遺伝子の研究が未来の私たちの生活に大きな影響をもたらすだろう、そんなことを実感させられたお話しでした。

 次回の博物館講座⑤は12月17日(土)に、当館の生島信行館長を講師として開催します。演題や申し込みフォームなど、詳しくは近日ホームページ上でお知らせしますので、こちらもぜひご参加ください。

プライム企画展記念講演会①を開催しました(報告)

 10月1日(土)から、博物館ではプライム企画展「女神たちの饗宴-『縄文の女神』国宝指定10周年-」を開催しております。国宝土偶「縄文の女神」が国宝に指定されてから10周年にあたるのを記念して、全国から国宝土偶(複製)を集め、5体全てを一堂に会して展示しております。
 10月9日(日)は、文化庁の原田昌幸文化財調査官をお招きし、国宝土偶の持つ魅力や海外で「縄文の女神」を展示した時のことなどをお話しいただきました。
 土偶は、縄文時代の人びとの精神文化を語る貴重な文化財であること、時代を超えて私たちの感性に強く語りかける貴重な文化財であることを、造形のポイントやデザインとしての面白さなどとあわせてお話しいただきました。また、イギリスやフランスでの展示会について、準備から開催にいたるまでの大変だったお話を聞くことができました。
 「縄文の女神」をはじめ多くの文化財の指定に長らく関わられたその経験に基づくお話しはとても楽しく、たくさん学ばせていただきました。
 講演の後は展示室に移動し、ギャラリートークもしていただきました。お忙しいにもかかわらず、参加者の質問にもお答えいただき、楽しい時を過ごすことができました。

 次回の記念講演会②は11月6日(日)に、山形考古学会会長の阿部明彦先生を講師にお招きして開催します。阿部先生は山形県内の遺跡調査に長らく関り、また「縄文の女神」が重要文化財に指定された時には当館学芸員としてご尽力いただいた方です。詳しくは近日ホームページ上でお知らせしますので、こちらもぜひご参加ください。

博物館講座③を開催しました(報告)

 博物館では、館長や当館職員、大学の先生などを講師としてお招きし、それぞれの専門分野について、分かりやすく紹介していただく「博物館講座」を年6回実施しております。
9月17日(土)、東北芸術工科大学の松田俊介先生を講師にお招きして、第3回博物館講座を開催しました。
 講座の題材は「奇祭から考える民俗行事の困難と再生」です。「奇祭」とは、独特の習俗をもった、風変わりなお祭りのことで、その地方独特の風習にもとづくものだそうです。今回とりあげた奇祭は、松田先生がフィールドワークで実際に調査した、栃木県日光市山内輪王寺に伝わる「子供強飯式」というものでした。子どもが演じる山伏などが、大人に、大量の米飯などを食べるよう強いるという、不思議なお祭りです。松田先生からは、同じ祭りでも地区ごとに作法や演出が異なることや、少子化に伴い運営や意識が変化していくことなど、時代とともに民俗行事の維持と再生が課題となっていくことなどを、貴重な映像などとともにお話しいただきました。

 今後も、当館では様々な分野の専門家を講師にお招きし、博物館講座を開催して参ります。詳しくはホームページでお知らせしますので、よろしくお願いします。

教育資料館の敷地内の庭が綺麗になりました

皆さま、ご無沙汰しております。こちら分館の教育資料館です
 大変厳しい夏が終わり、秋の気配をしみじみと感じる今日のこの頃ですね。皆様、いかがお過ごしでしょうか?教育資料館の敷地内にあるトチノキは今年もたくさんの実がなっていて、来館者の目を楽しませております。たわわに実っているトチノミが大きな音を立ててどんどん落ちてくる時期になりました。

 さて、山形県立博物館本館はさる9月3日~9月13日まで、二年に一度の燻蒸期間になっており、その期間は臨時休館をさせて頂いておりました。この度は普段は本館に勤務している職員と一緒に、9月8日~9月10日に教育資料館の敷地内の草むしりを行いました。普段の日常の業務中にはなかなか行き届かない所まで綺麗にするのが今回の目的です。

 特に正門近くと門衛所の廻りなどの場所を重点的に行いました。協力して頑張った結果、草が至る所に生えて、やや見苦しかった敷地内の庭が、以前よりもサッパリとして綺麗になりました。

 もうすぐ秋の行楽シーズンです。教育資料館の敷地内でトチノミ拾いができるのは秋の今のこの時期だけになります。館内も涼しく大変快適な時期ですので、教育資料館を訪れたことのない知り合いや親戚、友人等々をお誘いあわせの上、是非お越しください!

 尚、山形県立博物館本館では、まもなく令和4年度プライム企画展『女神たちの饗宴―「縄文の女神」国宝指定10周年―』が開催されます。会期は10月1日~12月11日になります。職員一同、皆様のご来館をお待ちしております。

国宝土偶「縄文の女神」展示解説会③

 8月14日(日)に第3回の国宝土偶「縄文の女神」展示解説会を実施いたしました。限られた時間での解説会でしたが、熱心に耳を傾けてくださいました。本当に感謝申し上げます。
 次回は10月22日(土)です(プライム企画展の展示解説会を兼ねています)。当館ホームページからの事前申込制になりますので、ホームページの告知をご覧ください。

特別展は8月28日まで

 今年の夏も大変暑いですね。皆さま体調の管理にはお気をつけください。
 夏と言えば、海に行きたい!でも暑すぎる、日差しも強すぎる…。そこで、おすすめしたいのが、特別展「発掘30周年・マムロガワクジラ、新生代の海を泳ぐ~やまがた北部の古生物~」です。
 「マムロガワクジラ」とは、山形県真室川町大沢の山中で発見された約600万年前の鯨類化石の総称です。マッコウクジラ、セミクジラ、ナガスクジラなどの多数の個体が見つかり、多くのクジラが一カ所にまとまって発掘された例は国内では珍しく、クジラの進化を伝える上で重要な発見とされています。
 1992~1994年に発掘調査に携わった地学部門の長澤学芸員が本企画展を担当しました。
 今年で発掘から30年を迎えたことから、史上初となるマムロガワクジラの全標本を公開し、真室川町の皆さんをはじめ、化石ファン、クジラがお好きな方たちからも熱い声援をいただいております。
 東北地方は、北西太平洋の中緯度に位置し、静かな入り江が多いという鯨たちにとって住み心地の良い環境だったことから、様々な鯨化石が発見されています。鯨類化石と現生鯨類の骨格標本を比較して見ていただければと思います。
 他にも貝類、サメ類、鰭脚類(ききゃくるい)などの化石、新庄盆地の多様な化石も展示中です。
 特別展は、第三展示室で開催しておりますが、第一展示室はじめの「山形のなりたち」コーナー、展示ビデオ「山形の大地」を併せて見ていただくと、豊かな海であった当時の山形県の環境がイメージしやすいかもしれません。ぜひ常設展もお楽しみください。
 また、お話を聞いてみたい!という方におすすめしたいのは、8月20日(土)に開催される記念講演会「マムロガワクジラと山形の古生物」です。展示解説会でも、分かりやすく丁寧で面白い!とご好評いただいている長澤学芸員の講話をじっくり聞ける貴重な機会。ホームページからのお申込みをお待ちしております。

 長澤学芸員の出張授業を受けた真室川町の小・中学生による自由画展も開催中です。素敵な作品たちに思わず目が奪われます。お気に入りのクジラ探しも楽しいですね。こちらは体験広場に展示中です。

 特別展及び自由画展も8月28日(日)までとなっております。
 夏の思い出のひとつに、太古の海に飛び込んでみてはいかがでしょうか。

古文書講座入門編(前期)が終了しました

 博物館では毎年、当館で所蔵している史料を使って、古文書を読む講座を開いております。初めて古文書を読む方やゆっくり読み進めたい方に向けて、一文字ずつ丁寧に解説する「入門編」を、前期と後期に分けて各3回実施しています。
 7月13日(水)、入門編(前期)の第3回目が開催されました。昨年度に引き続き、山形の有名な武将、最上義光について書かれた軍記物『義光物語』を取り上げて読みました。『義光物語』は17世紀にまとめられた書物で、「くずし字」という文字で書かれています。一文字ずつ今の漢字と照らし合わせながら、まるでパズルを解くよう解読していきました。講座に参加された方々からは、くずし字を読む活動がとても楽しかったなど感想を寄せていただきました。
 入門編(前期)は今回で終了となります。これから入門編(後期)の開催を予定しており、7月末ごろから募集を開始します。詳しくは近日ホームページ上でお知らせしますので、興味を持っていただけましたらぜひご参加ください。

博物館講座②開催報告

 博物館では、館長や当館職員、大学の先生などを講師としてお招きし、それぞれの専門分野について、分かりやすく紹介していただく「博物館講座」を年6回実施しております。

 7月9日(土)は東北芸術工科大学の田口洋美教授を講師にお招きして、第2回博物館講座を開催しました。
講座の題材は「森を使い分ける:羽越マタギの思考と形」。田口先生が長年フィールドワークをされてきたご経験から、旧三面集落の里山に暮らした人びとが自然とどのように共存し、また長い年月をかけて人々が森を育てていったのかということを「撫育」という言葉をキーワードにお話しいただきました。マタギの男性は左足から靴を履くなど、自らマタギの方々と関わって初めて知ることのできることなど、リアルな体験に基づいた話と、語りかけるようなお話しに引き込まれ、とても楽しく、学びの深い時間を過ごさせていただきました。

 次回の博物館講座③は9月17日(土)に、東北芸術工科大学の松田俊介講師をお招きして開催します。演題や申し込みフォームなど、詳しくはまもなくホームページ上でお知らせしますので、こちらもぜひご参加ください。

博物館の消防訓練

 先日、消防訓練がありました。今回は展示室から出火という想定で、初期消火や来館者の皆さんを安全に誘導するための訓練を行いました。当日はその際にご来館されていた一般の方3名にもご参加いただきました。急な呼びかけにもかかわらず、快くご協力いただき、本当にありがとうございました!
避難後は屋外で水消火器を使った消火器操作訓練を行いました。火災発見時、最も大事なのが火事ぶれ。「火事だ~!」と大きな声で叫んで周りの人に知らせてから消火です。忘れちゃいけないのが退路確認!火を消すことも大事ですが、自分の逃げ道を確保しておくことはもっと大事です。皆さんも万が一火事に遭遇した際には、まず自分の命を守ってくださいね。

「火事だ~!」の火事ぶれ
消火器での消火訓練

 現在でも火災は大変な災害ですが、今よりも耐火や消火の技術が発達していない昔の人たちにとっては本当に恐ろしく、厄介なものだったことでしょう。人の力ではどうにもならないことは、時に神様にお祈りしました。
 山形県立博物館には「牛札」が展示してあります。出羽三山は臥牛山とも呼ばれ、牛は湯殿山の使者と考えられていたそうです。江戸時代の大火の際に、羽黒の牛神が風向きを変えて庄内藩江戸屋敷を救ったという伝説から、牛札をかまど等に貼り、火災予防を祈願したそうです。

「牛札」

 実は県博には展示ケースにある牛札の他に“かくれ牛札”があります。お近くまでお越しの際はぜひ、県立博物館にお立ち寄りいただき、“かくれ牛札”を探してみてください♪