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文化の日と特別展「両羽博物図譜」

 秋も深まり、霞城公園は紅葉が彩る季節になりました。お散歩するには肌寒いところもありますが、冬の足音を感じさせる澄んだ空気は心地良いものですね。

 霞城公園を散策していると、鳥見(バードウォッチング)をしている女子大学生たちを思わず探してしまいます。
 山形県を舞台にした漫画「しあわせ鳥見んぐ」の登場人物すずさん、翼さん、ひなさん、岬さんですね。本作をきっかけにバードウォッチングをしてみたいと思っている方も多いのではないでしょうか。
 作者である県在住の漫画家わらびもちきなこ氏は、昨年の当館プライム企画展「東北の自然史大図鑑」で最上かすみさんとカイくんのキャラクターをデザインしてくださいました。また、今年は文化の日に「自分だけの博物図譜を作ろう!」と題したイベントで講師としても「やまはく」とコラボしてくださいました。

イメージキャラクター 最上かすみさんとカイくん

 文化の日のイベントの様子を紹介すると、午前の部では、氏の描いた躍動感に溢れる鳥の絵に水彩で着色を行いました。また午後の部では、当館の鳥の剥製をモデルとして、どのような視点で鳥を描くか、描き方のコツなどのレクチャーを受けた参加者たちが、画板を使用して鉛筆デッサンに挑戦しました。県内はもちろんのこと、遠方からの申込みも多くあり、お子さんから大人まで幅広い年代のみなさんが真剣に取り組んでおられました。

午前の部「水彩絵の具で塗り絵をしよう!」の様子

 そして、現在開催中の特別展「両羽博物図譜~博物学者 松森胤保に描かれた動物たち~」では、日本のレオナルド・ダ・ヴィンチとも称される胤保が描いた「両羽博物図譜」と、そこに描かれた動物標本、胤保にまつわる資料について、文化の日特別クイズラリーと共にじっくり楽しんでいただけたようでした。
 メディアでも多数取り上げられている本展示会ですが、11月15日(土)、12月6日(土)(いずれも13:30~14:00)には、担当者である中川学芸員による展示解説会(※要入館料)を開催します。

展示解説会の様子

 また12月7日(日)には、小野寺雅昭氏(飽海地域史研究会)による記念講演会「日記から読み解く松森胤保と動物の関わり」(※事前申込制・要入館料)も予定されております。申込み日程など詳細につきましては、ホームページ、SNS等をご確認ください。
 新発見!初公開!資料など見所たくさん、総合博物館ならではの多岐にわたる特別展「両羽博物図譜」は、12月14日(日)までとなっております。今年の思い出のひとつに、ぜひご来館ください。

時間感覚

学芸課 K.A

 本県で暮らす私たちにとって、日常の通勤、買い物やレジャーなどの移動手段として車は欠かせない相棒です。しかも、できるだけスムーズに短時間で目的地に着きたいというのは、共通の願望ではないでしょうか。私も「○○バイパス新規開通」とか「□□高速道路△△区間開通」などのニュースは大歓迎ですし、できるだけ早く試してみようとワクワクします。そして実際に利用してみると、新設の橋や切り通し・トンネルに工事の苦労を思い、高いところから見下ろす街並みなど初めて目にする景色に新鮮な感動を覚えたりします。また、過去に訪れた時と比べて大幅に短縮された目的地までの所要時間に、自分の時間感覚をリセットすることも楽しみの一つです。
 これとは逆に車社会の現代からさかのぼって、歩き中心の時代を体験する機会がありましたので紹介します。山形市近辺に土地勘のある方は、山形市中心部から南隣の上山市に向かうことを想定してみてください。車利用の場合「安全策で幹線道路を行った方がいいかな」「このタイミングだとあそこの道を抜けた方が混まないかな」などといくつかのルートの選択肢が浮かぶと思います。しかし、それらの選択肢には全く入らないルートが、江戸時代には参勤交代の大名も利用する幹線として重要な役割を果たしていたのです。
 それは「黒沢峠」です。去る10月5日(日)に実施された県立博物館友の会の「現地で学ぶ講座-羽州街道・黒沢峠探訪-」で実際に歩くことができました。旧羽州街道を山形城下から南へ向かうと南館、吉原、坂巻、片谷地、松原を経て黒沢に至ります。現在車で黒沢地区を経て上山方面へ向かう際に利用される道路は、明治になってから開かれたもので、旧羽州街道は黒沢地区の南端(通称:黒沢デリバリ)から西に折れて黒沢峠を登り、近年開発された「みはらしの丘」地区の南東部を通って、久保手の地蔵堂で上山領に入るというルートだったのです。
 峠の入り口右奥に、上山市金瓶地区出身の齋藤茂吉も眼病平癒の祈願のために詣でた「松原不動尊」、鳥居をくぐり坂道を登ると地区民の信仰を集める「福田神社」があります。それぞれにお参りし、さらに木立の中の坂道をいくつかのカーブを曲がって登ると開けた「坂の上」という所に出ます。街道をはさんで二軒茶屋跡(三八茶屋と八兵衛茶屋、現在は井戸跡のみ)と、その東方の高みに「神明神社」があります。旅人にとっては、休憩してのどをうるおすとともに山形領を振り返り別れを告げ、その先の長旅の無事を祈る節目の場所でもあったのです。
 現在は、峠の上を県道山形上山線(西回りバイパス)がまたいで多くの車が往来し、東側の眼下を山形新幹線が走り抜けるという状況です。しかし、実際に歩いてみると車とも新幹線とも違う人間の脚による時間の流れを感じることができました。2時間ほどの行程でしたが、久しぶりに歩きによる時間感覚を取り戻したような体験でした。

松原不動尊登り口
黒沢峠を登る1
黒沢峠を登る2
二軒茶屋跡の説明版
山形城下を振り返る

第4回博物館講座を開催しました。

 本講座には10名の方にご参加いただき、実際に学芸員になりきって、自分にとっての「宝物」を展示するというワークショップを行いました。10代から70代までの幅広い年齢層の方が参加し、アットホームな雰囲気の中で行われました。
 まずは佐藤学芸員より学芸員の仕事についての話をした後、参加者のみなさんには、ご自身が持参した「宝物」を観察しながら、「調書(ちょうしょ)」と呼ばれる観察シートを作成していただきました。
 その後、調書に基づいて、200文字以内で「キャプション(展示解説文)」を手書きで作成。短い文章の中で、どのようにモノの魅力や背景を伝えるかを考える作業は、意外と難しくもあり、皆さん熱心に取り組まれていました。
 最後は、それぞれの「宝物」とキャプションを実際に並べて、即席の展示会を開催。さらに、参加者の皆さんから、ご自身の「宝物」についての思い出やエピソードを交えて一言ずつ解説していただき、展示会が大いに盛り上がりました。
 参加者の方からは、こんな感想が寄せられました。
「モノや自分を客観的に見るという作業がとてもおもしろかった。参加して大正解でした。」
「遊ぶように、でも博物館のお仕事が真摯に伝わってきて、とてもいい時間でした。さまざまな世代の方が楽しめるワークショップデザインがすてきです!」
 手と口を動かしながら、自分の大切な「宝物」と向き合うこの時間は、参加者の皆さんにとって、そのモノの価値をあらためて実感するきっかけになったようです。
 次回、第5回博物館講座は、10月18日(土)に当館館長が登壇します。詳細は当館ホームページにてご案内しますので、ぜひチェックしてみてください。

二万人セレモニー

暑い夏が終わり少し肌寒さを感じる季節となりましたが、いかがお過ごしでしょうか?

山形県立博物館では9月17日(水)に今年度の来館者数が2万人を突破し、記念セレモニーが行われました。2万人目となったのは県立楯岡特別支援学校大江校の皆さまです。
副館長から認定書と記念品を贈呈し、記念撮影後に見学を楽しんでいただきました。

☆お知らせ☆
9月27日(土)から12月14日(日)まで特別展「両羽博物図譜~博物学者松森胤保に描かれた動物たち~」を開催しております。
山形県庄内出身の幕末・明治の博物学者で日本のレオナルド・ダ・ヴィンチとも呼ばれる松森胤保(まつもりたねやす)が描いた様々な動物たちの魅力に迫ります。
新発見・初公開資料もありますので、皆さまのご来館を心よりお待ちしております。

第3回博物館講座を開催しました。

 博物館では、大学の教授をはじめとする専門家を講師としてお招きし、それぞれの研究分野について紹介する「博物館講座」を実施しています。
 9月20日(土)の第3回博物館講座では、東北芸術工科大学の佐藤祐輔(さとうゆうすけ)先生を講師としてお迎えし、「先史時代の石器づくり」をテーマにご講演いただきました。今回の講座には14名の方が参加され、メモを取りながら、またスマートフォンで写真を撮りながら、熱心に耳を傾けていました。
 佐藤先生は弥生時代を専門とされていますが、前職では石器の製作実験や実演に携わっており、その豊富な経験を基に、石器づくりに関する貴重な知見を披露していただきました。
 講演の前半では、「石器づくり」における石材の性質や産地情報、石材選択の重要性についてお話しいただきました。また、地域や時代による石器づくりの違いや、その過程で使用される道具についても詳しく説明されました。
 後半では、参加者の前で実際に石器を作る過程を実演していただきました。作り手の意識や、石を割る際のポイントを解説しながら、石から石器を作り出す様子を示してくださいました。石刃がうまく取れると、会場からは「おおっ~」という感動の声が上がり、参加者からは多くの質問も寄せられました。実演を通じて、実際に石が割れる様子を目の当たりにし、感動を覚えた方々も多かったようです。
 講演後には、参加者から次のような感想が寄せられました。
「石器製作の実演がとても面白かった。実演の中で詳しい解説があり、その時代に自分がいるかのような感覚になった。展示物を見る目が変わった。」「先史時代の生活に引き込まれるような感覚を得た。」「実演が非常に良かった。自分でも石を割ってみたくなった。」
 詳細な解説と共に、石器製作の実演が行われたことで、先史時代の人々による石器づくりについて深く学ぶことができ、非常に興味深い講演となりました。
 次回は10月18日(土)、当館学芸員による第4回博物館講座「学芸員の仕事を体験―あなたの宝物を展示―」を開催します。詳細はホームページでお知らせしていますので、ぜひご参加ください。

博物館実習を実施しました

 学芸員の資格取得をめざす大学生を対象とした「博物館実習」を実施しました。
今年度は、8月28日(木)~9月3日(水)の6日間(9月1日(月)は除く)、県内外の6大学から、11名の学生が実習に参加しました。

 実習生の皆さんは、総合博物館ならではの、自然系・人文系の幅広い分野における常設展示やバックヤード見学、資料の取扱いや管理等についての講義や演習を通して、学芸員の業務について実践的に学びを深めました。また、様々な実物資料を扱ったり、企画展示の撤収作業に協力して取り組むなど、現場でしかできない実務経験を重ねるとともに、教育普及や広報活動、地域や他機関との連携など、専門分野以外の業務についても学ぶことで、博物館の運営や役割、学芸員の仕事の多様性に触れ、責任感や社会意識を高めました。

 そして最終日には、実習で学んだことをもとに、今後の博物館活動に関する具体的な提言をレポートにまとめたり、各自が興味・関心をもった展示資料の解説を行う「模擬解説」に挑戦しました。イラストやクイズ形式のワークシートの使用、視線の誘導や興味を引くエピソードの紹介など各自工夫を凝らした発表となり、質疑も大変活発に行われました。

 実習に参加した皆さんは、6日間で学んだことを今後の生活にいかし、博物館や文化財の場など、社会の様々な場面で活躍されることを期待しています。なお、来年度の実習生の募集については、令和8年1月以降にホームページでお知らせする予定です。

令和7年度「高校生学芸員一日体験講座」を開催しました

 毎年、多くの皆さんに参加いただいている「高校生学芸員一日体験講座」を今年度も実施しました。昨年度に引き続いての3日間開催で(7月29日(火)、31日(木)、8月6日(水))、県内各地から延べ45名の高校生が参加してくださいました。

◇◆ 7月29日(火):【人文科学】 ◆◇
「山形の歴史やくらしにふれる」というテーマで、人文系の展示室や、普段はなかなか見ることのできないバックヤードの見学、考古部門・歴史部門・民俗部門の各講座等を実施しました。縄文時代の遺跡から掘り出された土器の水洗作業(考古)や、江戸時代のくずし字の解読、浮世絵の観察(歴史)、身近な道具に関する聞き取り演習(民俗)など様々なワークショップを行いました。

◇◆ 7月31日(木):【自然科学】 ◆◇
「山形の自然とそのめぐみを知る」というテーマで、自然系の展示室やバックヤードの見学、植物部門・動物部門・地学部門の各講座等を実施しました。ベニバナからの紅の抽出(植物)、動物標本の整理と収集(動物)、化石の取り出しとクリーニング(地学)など、本物や実物に触れながら、学芸員の仕事を学んだり実際に体験してもらいました。

◇◆ 8月7日(水):【総合(人文・自然)】
人文と自然の両分野を一日で体験する講座を、今年度初めて実施しました。「各分野の体験と展示会ができるまでを学習する」というテーマで、人文系・自然系の各展示室とバックヤードの見学、土器の復元体験(人文系・考古)や化石のレプリカづくり(自然系・地学)、企画展の作り方や運営を考える講座を行い、博物館や学芸員の業務を学びました。

 高校生の皆さんからは、「各講座での体験や見学、学芸員との交流がとても楽しく、有意義でした」など嬉しい感想をたくさんいただきました。今まで知らなかった博物館や学芸員の仕事に触れ、興味を深める良い機会になったようです。ご参加いただいた皆さん、大変ありがとうございました!  

                         (M)

第2回博物館講座を開催しました。

 博物館では、大学の先生などを講師としてお招きし、それぞれの専門分野で研究されていることを紹介する「博物館講座」を実施しております。
 7月19日(土)の第2回博物館講座では、東北芸術工科大学から岡陽一郎(おかよういちろう)先生を講師にお招きし、「伊達○衡」の誕生と拡散-東北地方以外の事例から-」という演題でご講演いただきました。今回は22名の方が参加され、メモを取りながら熱心に耳を傾けていました。
 岡先生は日本中世史がご専門で、近年では「近世における中世の由緒に関する研究」にも取り組んでおられ、これまでにも当館でたびたびご講演をいただいています。
 今回は、「伊達〇衡」という表現についてお話しいただきました。この表現は、本来は誤ったものにもかかわらず、なぜ広く世間に認知されていったのか――その背景を、新しい視点から解き明かす研究成果をご紹介いただきました。
 ご講演によれば、「伊達〇衡」という人名の表現は、幸若舞・浄瑠璃・歌舞伎といった芸能の中に登場します。当時の娯楽の中で、史実と創作の境界があいまいになっていき、その結果、「伊達氏=平泉藤原氏」という認識が一般に広まったのではないかと、考えられているそうです。
 さらに、こうした芸能は上方(現在の近畿地方)が発祥であることから、「伊達〇衡」という呼び名は、東北地方ではなく、むしろ別の地域で生まれた可能性があるという見解も示されました。
 講演後、参加者からは次のような感想が寄せられました。
 「史料から読み解ける情報の深さに驚いた」「史実とフィクションが交錯しながら、奥州藤原氏のイメージが形成されていく過程を知ることができ、とてもスリリングだった」「実際には使われていなかった名前を、学者までもが使っていたことに驚き、当時の人々の価値観を知る貴重な機会になった」
 史実と芸能の関わりを通じて、歴史がどのように人々の中で形作られてきたのかを学ぶ、非常に興味深い講演となりました。
 次回は9月20日(土)、東北芸術工科大学の佐藤祐輔先生による第3回博物館講座「先史時代の石器づくり」を開催します。詳しくはホームページでお知らせしておりますので、ぜひご参加ください。

今年度の来館者数が1万人を達成しました。

6月27日(金)に今年度の来館者数が1万人を突破し、記念セレモニーが行われました。

1万人目となったのは天童市立荒谷小学校6年生の皆さんです。児童の皆さんは記念セレモニー後、当館解説員による説明を聞きながら熱心に見学をされていました。

これまでご来館いただいた皆さま、ありがとうございました。

館長より認定証を贈呈

山形県で「さくらんぼ」が栽培開始されてから150周年を迎える今年、県立博物館ではプライム企画展「さくらんぼ~山形県民、挑戦の結実~」を開催中(8月31日まで)です。皆さまのご来館を心よりお待ちしております。

「時の記念日」によせて

ペンネーム:職員I

 6月10日は「時の記念日」です。天智天皇が西暦671年6月10日に水時計を使って初めて時刻を知らせた事を由来としており、時間を大切にしましょうということで1920年に記念日が制定されました。 

 さて、学校における「時間」はどのようなものだったのでしょうか?江戸時代の寺子屋は、とてもおおらかでのんびりしていました。子供たちはそれぞれが生活にあわせて別々の時間に来て、手習いをしていました。そして、線香が燃えつきる時間を区切りにするなどして、勉強をすすめたといいます。おおよそ40分くらいです。(江戸時代、町中においては日時計が用いられていて、時間は鐘を鳴らして知らせていました。)しかし、明治時代に西洋化がすすめられ、太陽暦が採用されたことで時間の観念は変わりました。教科が定められ、一時間毎にきっちりと教科内容が区切られる、時間割がもうけられたためです。生徒は決まった時間に登校し、授業を受けるようになりました。とはいえ、時計が各学校に普及するまでは、時計が設置されていない学校では時刻がはっきり分からないため、混乱することもありました。

 さて、当館(教育資料館)は旧山形師範学校本館の校舎を用いており、山形市の緑町に位置していますが、当地に移転される前は旅籠町(文翔館の辻向かいの辺り)にありました。そして明治11年開校の旅籠町の校舎には時計塔が設けられました。時計塔のある校舎は当時としては大変に珍しいもので、東北では初めてでした。当時は街中で時計が設置してある場所はまだまだ限られていて、ほとんどの人々は時計を見慣れていませんでした。行き交う人々は時計塔を物珍しいものとして眺めたそうです。校舎移転後は、旧校舎の時計は市民の便を図るため、山形県庁舎に移設されました。新しい校舎の塔屋には当初時計は設置されず、かわりに鐘が取り付けられました。また師範学校の寮には軍隊の生活様式が取り入れられ、ラッパが学生に起床、就寝、食事の時間を知らせる手段として用いられていました。地域や学校によりますが、大正時代になると教室に時計が設置されることが増えてきたと言われています。

 当館の展示室『昭和初期の教育』には、時間の区切りを知らせするために使われた鐘があります。「振鈴(しんれい)」といって、用務員さん(かつては小使いさんと言われた)が鐘を振って鳴らし、授業が始まる時や終業時等、学校での区切りの時間を知らせに校内をまわることで、今でいうチャイムとしての役割を果たしていました。振鈴を実際に鳴らしてみると、「カ―ン、カーン」ととても良く響き渡りますが、鳴らしながら、校内をまわる時に時間がかかるので、すこし「時差」が生じていたようです。明治のころから使われていた用具ですが、学校により昭和になっても使われていました。当館の80代以上の来館者の中には「懐かしい」とおっしゃる方もいらっしゃいます。実物はずっしりとしていて重いです。

 現代はせわしなく、時間に追われていると感じることも多いのですが、普段生活していると、何気なく時間がなんとなく過ぎていくこともありますね。時には立ち止まって、ゆっくりすることも必要ですが、時間を意識して、一日一日を大切に生活することが大事ですね。

 改めて、時間について、様々なことを各々が思いを馳せてみてはいかがでしょうか。

≪近頃の教育資料館の様子、外観≫
≪旅籠町の旧校舎≫
≪振鈴の写真≫