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プライム企画展記念イベント「体験!縄文のくらし」を開催しました(報告)

 10月1日(土)から、博物館ではプライム企画展「女神たちの饗宴-『縄文の女神』国宝指定10周年-」を開催しております。国宝土偶「縄文の女神」が国宝に指定されてから10周年にあたるのを記念して、全国から国宝土偶(複製)を集め、5体全てを一堂に会して展示しております。
 10月29日(土)30日(日)の2日間は「東北文化の日」無料開館日でした。それに合わせて企画展の記念イベント「体験!縄文のくらし」という、縄文時代の人びとのくらしに関連して体験できるようなイベントを行いました。
 29日は「アンギン編み」「古代風ブレスレットづくり」というクラフト系のイベントでした。複数の糸を組み合わせて織りあげるため、単純な作業を繰り返す根気と努力が必要でしたが、参加した方からは「夢中になれて楽しかったです(宮城県、50代女性)」「親子で楽しく参加できました(南陽市、40代女性)」「ハンドメイドの記念品が良かった(宮城県、20代男性)」といった感想が寄せられました。
 30日は「弓矢チャレンジ」「凹み石でクルミ割り」というアクティブ系のイベントを実施しました。弓で動物の的めがけて矢を飛ばす「弓矢チャレンジ」は大人から子どもまで楽しんでいただけたようです。また、クルミを石でたたいて割る体験は普段できないためか、夢中になってくれる小学生もいました。「イノシシにあたったことがうれしかった(天童市、小学生女子)」「クルミ割りも弓矢も楽しかったです(静岡県、20代女性)」「便利な時代に生活しているので、縄文時代のくらしを自分で体感して、生きていくことの再確認になった(寒河江市、60代女性)」といった感想が寄せられました。多くの方々から楽しんでもらい、職員一同うれしく思います。
 イベントの開催にあたっては、(公財)山形県埋蔵文化財センターと山形県立うきたむ風土記の丘考古資料館の職員からご協力を頂きました。この場をお借りして御礼申し上げます。

 11月23日(水・祝)には「親子で勾玉をつくろう」も行われます。1組で2つの勾玉がつくれますので、こちらもぜひご参加ください。

来館者数2万人突破セレモニー

10月18日(火)に今年度の来館者数が2万人を突破し、記念セレモニーが行われました!
これまでにご来館いただいた皆さま、誠にありがとうございました。

2万人目のお客様は、河北町立谷地西部小学校の皆さまでした。
今回のセレモニーは教育資料館(分館)で行われ、新鮮な光景となりました。

セレモニー後、小学生の皆さまは分館職員による解説を聞きながら、興味深そうに館内の展示を見学していらっしゃいました。

なお、山形県立博物館(本館)では、12月11日(日)まで、プライム企画展「女神たちの饗宴 ―「縄文の女神」国宝指定10周年―」を開催中です。
こちらも連日多くのお客様にお越しいただき、嬉しい限りです。

本館・分館ともに皆さまのご来館を心よりお待ちしておりますので、今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

プライム企画展体験イベント①を開催しました(報告)

 10月1日(土)から、博物館ではプライム企画展「女神たちの饗宴-『縄文の女神』国宝指定10周年-」を開催しております。国宝土偶「縄文の女神」が国宝に指定されてから10周年にあたるのを記念して、全国から国宝土偶(複製)を集め、5体全てを一堂に会して展示しております。
 10月16日(日)は体験イベント「ミニチュア土偶をつくろう」を開催しました。今回は県立村山産業高等学校からご協力いただきました。電子情報科の先生・生徒のみなさんに講師をお願いして、国宝土偶「縄文の女神」の1/2サイズのぺーパークラフトをつくりました。
 3Dデータをもとに、同高校の佐藤和彦先生がデザインしたペーパークラフトは精巧なものです。佐藤先生が作り方の順番をスクリーンに示すと、6人の高校生が一つ一つ丁寧に説明してくれました。小さなお子様から大人の方まで、高校生と一緒に完成させていました。みなさん、出来上がった「縄文の女神」像にとっても喜んでくださいました。
 記念講演会のイベントは、10月29日(土)・30日(日)に「体験!縄文のくらし」が行われる予定です。両日とも「東北文化の日」に伴い無料で入館・参加できます。また、11月23日(水・祝)には「親子で勾玉をつくろう」も行われます。1組で2つの勾玉がつくれますので、こちらもぜひご参加ください。

 

博物館講座④を開催しました(報告)

 博物館では、館長や当館職員、大学の先生などを講師としてお招きし、それぞれの専門分野について、分かりやすく紹介していただく「博物館講座」を年6回実施しております。
 10月15日(土)は当館の細越林太郎研究員を講師として、第4回博物館講座を開催しました。
 講座の題材は「基礎から学ぶ身近な遺伝子の話」です。近年、iPS細胞や出生前診断、ゲノム編集など、遺伝子に関係するニュースが数多く聞かれるようになりました。遺伝子とはどういったものか、最近の研究はどのようなことが行われているのか。今回は遺伝子の基礎から丁寧に解説してもらいました。
 ゲノムや染色体、DNAといった言葉の意味といった基本的な知識から、双子や三つ子が生まれるしくみ、クローン技術についてなど、興味深い内容をできるだけわかりやすく解説してもらいました。また、「DNAを抽出してみてみよう」ということで、実際にバナナを使って実験もしました。最後にエタノールを注入すると、白いふわっとしたかたまりでDNAを取り出したところ、参加者からも驚きと感心の混じった声が聞かれました。遺伝子の研究が未来の私たちの生活に大きな影響をもたらすだろう、そんなことを実感させられたお話しでした。

 次回の博物館講座⑤は12月17日(土)に、当館の生島信行館長を講師として開催します。演題や申し込みフォームなど、詳しくは近日ホームページ上でお知らせしますので、こちらもぜひご参加ください。

プライム企画展記念講演会①を開催しました(報告)

 10月1日(土)から、博物館ではプライム企画展「女神たちの饗宴-『縄文の女神』国宝指定10周年-」を開催しております。国宝土偶「縄文の女神」が国宝に指定されてから10周年にあたるのを記念して、全国から国宝土偶(複製)を集め、5体全てを一堂に会して展示しております。
 10月9日(日)は、文化庁の原田昌幸文化財調査官をお招きし、国宝土偶の持つ魅力や海外で「縄文の女神」を展示した時のことなどをお話しいただきました。
 土偶は、縄文時代の人びとの精神文化を語る貴重な文化財であること、時代を超えて私たちの感性に強く語りかける貴重な文化財であることを、造形のポイントやデザインとしての面白さなどとあわせてお話しいただきました。また、イギリスやフランスでの展示会について、準備から開催にいたるまでの大変だったお話を聞くことができました。
 「縄文の女神」をはじめ多くの文化財の指定に長らく関わられたその経験に基づくお話しはとても楽しく、たくさん学ばせていただきました。
 講演の後は展示室に移動し、ギャラリートークもしていただきました。お忙しいにもかかわらず、参加者の質問にもお答えいただき、楽しい時を過ごすことができました。

 次回の記念講演会②は11月6日(日)に、山形考古学会会長の阿部明彦先生を講師にお招きして開催します。阿部先生は山形県内の遺跡調査に長らく関り、また「縄文の女神」が重要文化財に指定された時には当館学芸員としてご尽力いただいた方です。詳しくは近日ホームページ上でお知らせしますので、こちらもぜひご参加ください。

「縄文の女神」がたくさんいます

 10月9日は何の日でしょうか? 縄文文化の魅力を広める活動をしている任意団体の「土偶の日運営委員会」(現 縄文ドキドキ会)が、10月9日を「土偶の日」という記念日にしようと提唱しました。語呂合わせで、土(10)偶(9)と読めるからのようです。
 
 さて、当館が所蔵する土偶と言えば、真っ先に「縄文の女神」を思い浮かべると思います。ところで、県立博物館には、縄文の女神が何体設置されているでしょうか?
 もちろん本物は一体ですが、館内には多彩なレプリカなどを常設し、ふだんから縄文の女神をより身近に感じたり、触って形を把握したりできるよう工夫しています。いくつかご紹介しましょう。

 まず正面玄関では、木製の「縄文の女神」が皆さんを出迎えます。これは分館である教育資料館にあったモミの木から作られました。立ち枯れの状態になり、倒木の危険があったため、上山市の株式会社三共造園に伐採していただいたのですが、代表取締役の井上睦夫さんの考案で制作していただいたものです。全長は2メートル60センチメートルで、重さは約600キログラムもあります。

 次からは館内に設置している女神たちです。白い「縄文の女神」は、東根市の神町電子株式会社が、自社の3Dプリンターで制作してくれました。アクリル系樹脂製のモデルです。実物大ですが、重さは実物より約1キログラム軽く、制作には65時間かかったそうです。現在、触れる状態にして展示しています。同じスタイルを触って実感することができます。

 次の光る「縄文の女神」は、村山産業高校の生徒さんが、校内のレーザー加工機を使って裁断し、組み合わせて作ってくれたものです。鏡面状のアクリル板材によって近未来的な姿を見せています。附属のケースの上下からは、フルカラーに点滅する県産有機ELに照らされ、幻想的な空間を醸し出します。写真以外のカラーも表現されています。

 青銅製の「縄文の女神」もあります。金属ならではの重厚感が、写真でも分かりますでしょうか。

 これらの女神たちは、博物館のどこかに設置しています。来館の際は、ぜひ探してみてください。

 最後に紹介するのは、新庄神室産業高校の生徒さんが3Dプリンターで制作してくれたものです。ふだんは館長室に設置し、来客の方などをお迎えしていますが、イベントなどでも活用しています。

 現在開催しているプライム企画展『女神たちの饗宴 ―「縄文の女神」国宝指定10周年―』では、「縄文の女神」を含む全国で5点のみの国宝土偶(複製)と、県内外の縄文時代前期から晩期までの多彩な土偶を集めました。考古学の学術価値はもとより、縄文人が制作した美術作品と位置付けても極めて高い評価ができる土偶の魅力や美しさ、奥深さも感じていただけるような展示を心がけました。ご来館をお待ちしています。

博物館講座③を開催しました(報告)

 博物館では、館長や当館職員、大学の先生などを講師としてお招きし、それぞれの専門分野について、分かりやすく紹介していただく「博物館講座」を年6回実施しております。
9月17日(土)、東北芸術工科大学の松田俊介先生を講師にお招きして、第3回博物館講座を開催しました。
 講座の題材は「奇祭から考える民俗行事の困難と再生」です。「奇祭」とは、独特の習俗をもった、風変わりなお祭りのことで、その地方独特の風習にもとづくものだそうです。今回とりあげた奇祭は、松田先生がフィールドワークで実際に調査した、栃木県日光市山内輪王寺に伝わる「子供強飯式」というものでした。子どもが演じる山伏などが、大人に、大量の米飯などを食べるよう強いるという、不思議なお祭りです。松田先生からは、同じ祭りでも地区ごとに作法や演出が異なることや、少子化に伴い運営や意識が変化していくことなど、時代とともに民俗行事の維持と再生が課題となっていくことなどを、貴重な映像などとともにお話しいただきました。

 今後も、当館では様々な分野の専門家を講師にお招きし、博物館講座を開催して参ります。詳しくはホームページでお知らせしますので、よろしくお願いします。

教育資料館の敷地内の庭が綺麗になりました

皆さま、ご無沙汰しております。こちら分館の教育資料館です
 大変厳しい夏が終わり、秋の気配をしみじみと感じる今日のこの頃ですね。皆様、いかがお過ごしでしょうか?教育資料館の敷地内にあるトチノキは今年もたくさんの実がなっていて、来館者の目を楽しませております。たわわに実っているトチノミが大きな音を立ててどんどん落ちてくる時期になりました。

 さて、山形県立博物館本館はさる9月3日~9月13日まで、二年に一度の燻蒸期間になっており、その期間は臨時休館をさせて頂いておりました。この度は普段は本館に勤務している職員と一緒に、9月8日~9月10日に教育資料館の敷地内の草むしりを行いました。普段の日常の業務中にはなかなか行き届かない所まで綺麗にするのが今回の目的です。

 特に正門近くと門衛所の廻りなどの場所を重点的に行いました。協力して頑張った結果、草が至る所に生えて、やや見苦しかった敷地内の庭が、以前よりもサッパリとして綺麗になりました。

 もうすぐ秋の行楽シーズンです。教育資料館の敷地内でトチノミ拾いができるのは秋の今のこの時期だけになります。館内も涼しく大変快適な時期ですので、教育資料館を訪れたことのない知り合いや親戚、友人等々をお誘いあわせの上、是非お越しください!

 尚、山形県立博物館本館では、まもなく令和4年度プライム企画展『女神たちの饗宴―「縄文の女神」国宝指定10周年―』が開催されます。会期は10月1日~12月11日になります。職員一同、皆様のご来館をお待ちしております。

プライム企画展の構成をご案内します。

 10月1日よりプライム企画展「女神たちの饗宴 ―「縄文の女神」国宝指定10周年―」を開催します。準備は順調に進んでいます。

 プライム企画展の展示は、全部で4部構成となっています。第1部は、「女神たちの饗宴」です。平成7(1995)年、長野県の「縄文のビーナス」が国宝に指定されてから、これまで5点の土偶が国宝に指定されています。国宝土偶(複製)5点を一堂に会し、土偶の持つ魅力や造形の美しさを感じていただければと思います。
 第2部は、「女神の降臨 ―舟形町西ノ前遺跡―」です。縄文の女神は、平成4(1992)年に行われた西ノ前遺跡の発掘調査において、4500年のときを経て姿を現しました。出土した様子や出土品を紹介し、どのような生活をしていたかについても見ていきます。
 第3部は、「縄文人の祈り ―集落と土偶―」です。山形県内の主な集落遺跡とそこから出土した土偶などを紹介しながら、豊かな自然の恵みを受けながら定住生活を営んだ縄文人の生活や精神などを見ていきます。
 第4部は、「山形の宝 ―みらいにつなぐ―」です。自然を敬いともに暮らすという想いや考え方は、現代まで受け継がれています。山形県内の国宝や文化的景観を紹介しながら、先人が作り上げた郷土の歴史や文化をつないで欲しいという願いを感じていただければと思います。

 まもなく公式ツイッターにおいて、連日見どころを紹介していきます。ご注目ください。

真室川町との「共創」

 8月28日をもって、特別展「発掘30周年・マムロガワクジラ、新生代の海を泳ぐ ~やまがた北部の古生物~」を無事に終えることができました。行動制限がない夏休みもあり、県内外から多数のご来館をいただきました。おかげさまで、コロナ禍以前に迫る来館者数となりました。また、新聞やテレビなど報道関係各社からは、期間を通して興味深くマムロガワクジラを取り上げていただきました。誠にありがとうございました。

 さて、今回の特別展では、発掘地である真室川町当局と早々に連携・協働して、「新しいこと」や「新しいもの」をつくり出すことができました。
 例えば、一つ目は新しい学びで、マムロガワクジラを素材とした地域学習です。真室川町立小中学校において、担当学芸員が出向いた出張授業や、当館への見学と解説を行い、マムロガワクジラを題材に、地域をより深く理解する学習を展開することができました。内陸である真室川町から、たくさんの海棲生物の化石が発見される意外性から始まり、クジラの進化や盆地の成り立ちなどを興味津々に学んでくれました。さらに、この学びを踏まえ、児童生徒によるマムロガワクジラ絵画展という連携事業を実施することができました。
 二つ目は新しい町資源の創造であり、マムロガワクジラを活用した地域活性化の取り組みです。一例として、真室川町を含む最上地方には、「くじら(くぢら)餅」という古くから伝わる郷土菓子があります。真室川町が町内の菓子店と協力して、「マムロガワクジラのくぢら餅」を製作しました。マムロガワクジラとくじら餅を掛け合わせた新商品です。さっそく8月3日と28日、当館において新田隆治町長から来館者へプレゼントするイベントが行われました。県外からの来館者は、真室川町とくじら餅を初めて知った方も多く、マムロガワクジラを関連付けながら覚えていただく機会となりました。町のPRにも一役買うことができました。他にも、真室川町からは発掘地点に案内掲示を設置していただいています。

 当館が掲げる博物館の役割の一つに、「新しい価値を創造する施設」があります。特別展の共催であった真室川町とは、「連携」「協働」を深めながら円滑に取り組みことができました。さらに一歩進めて、新たな価値を「共創」することができたと自己評価しているところです。

 さて、次の企画展示会は、10月1日~12月11日を開期としたプライム企画展になります。その準備のため、現在、第3展示室は閉鎖となっています。9月30日までは、第一、第二展示室のみの開館となりますので、ご了解くださるようよろしくお願いします。

※ くじら(くぢら)餅については、以下に説明がありますので、ご参照ください。

https://www.pref.yamagata.jp/020026/kensei/joho/koho/mailmag/pride/kujiramoti.html