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プライム企画展体験イベント②を開催しました(報告)

 10月1日(土)から、博物館ではプライム企画展「女神たちの饗宴-『縄文の女神』国宝指定10周年-」を開催しております。国宝土偶「縄文の女神」が国宝に指定されてから10周年にあたるのを記念して、全国から国宝土偶(複製)を集め、5体全てを一堂に会して展示しております。
 11月23日(水・祝)は体験イベント「親子で勾玉(まがたま)をつくろう」を開催しました。今回は県立うきたむ風土記の丘考古資料館の伊藤さんにご協力いただきました。滑石(かっせき)という柔らかな石を紙やすりで削り、世界に一つの自分だけの勾玉をつくりました。
 あいにくの雨模様にもかかわらず、たくさんの方に参加してもらいました。熱心に石を削って、思い思いの勾玉をイメージして仕上げていました。最後に水の中で丁寧に削ってつるつるに磨きあげて完成させた勾玉と縄文服で、記念写真を撮る親子もたくさんいました。今年最後の祝日が、楽しい思い出になったのではないでしょうか。
 縄文時代の土偶をテーマとした今年のプライム企画展、開催期間もあとわずかとなりました。12月11日(日)までの開催となります。皆様のご来館をお待ちしています。

受付のつぶやき

みなさん、こんにちは!
寒さが身に染みる季節になりましたが、いかがお過ごしでしょうか。
霞城公園では様々な樹木を目にしますが、公園内にある当博物館周辺も木々が落葉したり紅葉したりと、秋の深まりを実感する光景が見られるようになりました。
先日当館周辺の秋の様子を写真におさめましたので、ご紹介します♪

まずは西側から、目にも鮮やかなドウタンツツジの赤をご覧ください。

同じく西側では、紅葉する木々のなかジュウガツザクラが可憐な花を咲かせていました。

普段は非公開となっている当館南側では、太古の歴史を感じさせる埋没林の背景で鮮やかな黄色の紅葉が見られました。

最後に、駐車場北側の紅葉を当館2階から撮影した写真です。
ちょっと不思議な雰囲気に写りました!

いろんな秋の風景に囲まれた博物館では、現在プライム企画展「女神たちの饗宴-『縄文の女神』国宝指定10周年-」を開催しています。国宝に指定されている土偶(複製)5体全てが一堂に会する貴重な機会です。12月11日(日)までの会期となっておりますので、どうぞお見逃しなく!
寒さが増す一方ですが、防寒と感染症対策を万全にしてぜひ晩秋の霞城公園、そして博物館へお越しください。お待ちしております!

館長オススメ展示資料「環頭大刀」

 山形県立博物館における考古部門の展示物と言えば、誰しもが国宝の土偶「縄文の女神」を思い浮かべると思います。世界的な知名度もあり、現在開催中のプライム企画『女神たちの饗宴 ―「縄文の女神」国宝指定10周年―』は、とても好評をいただいております。
 その一方で、考古部門の他の展示資料は、どうしても二番手になりがちです。しかし、ほかにも、山形県の宝がたくさん収蔵・展示されています。そのうち、館長お薦めとして、山形市の大之越(だいのこし)古墳から出土した「環頭(かんとう)大刀」をご紹介します。

 5世紀後半~末の築造と考えられる大之越古墳は、直径約15mの円墳で、山形盆地の南西部に位置する山形市門伝地区にあり、古墳の西方約500m先には、ピラミッドのような富神山がそそり立っています。富神山は石が豊富で、大之越古墳や東北地方最大級の埴輪をもつ円墳の菅沢2号古墳(大之越古墳より東南東へ約1,200m)などに使用されています。
 昭和53年(1978年)、道路工事中に石棺が露出し、そこから40点余りの鉄製品を含む豊富な副葬品が出土したことは驚きをもって伝えられました。その中で最も注目された副葬品が環頭大刀です。全長約95cmで、刀部は約73 cm、茎部は約22 cmで、グリップエンドに環状の装飾が付いています。環頭には鳳凰が表され、口ばしには金象嵌(象嵌:素材の表面に、他もしくは同種の材料を嵌(は)め込む技術)が施されています。このような貴金属で装飾を施した「装飾付大刀」は、多種多様なものが日本列島に流通しており、大之越古墳の環頭大刀は、製作技法と装飾の特徴から、朝鮮半島南部の百済もしくは伽耶での製作と考えられるそうです。(なお、日本列島で装飾付大刀の製作が本格化するのは6世紀後半とされており、562年の大伽耶の滅亡により工人集団が渡来したのが一因との説があります。)そして、環頭大刀は日本列島に舶載され、当時の中央政権(ヤマト政権)から大之越古墳に葬られることになる人物に与えられたのではないかと思われています。
 『大之越古墳発掘調査報告書』(山形県教育委員会/1979年)では、ヤマト政権においても第一級の宝器とみなすことができる環頭大刀のほか多数の副葬品があったことから、大之越古墳に葬られた人物とヤマト政権は、単なる文化の交流を越えた関係であり、ヤマト政権がかなり影響力をもって環頭大刀や刀剣などを賜与したという政治的な結合であったと推測しています。
 古墳時代において、日本海側の古墳の北限は山形県に当たり、だいたい庄内地方から山形盆地を結ぶラインとされています。これをヤマト政権の強い影響力が及ぶ北限と考えると、大之越古墳に葬られた人物は、東北地方への進出をもくろむヤマト政権と密接に結びつき、最前線に立って重要な役割を担っていた山形盆地の首長とは考えられないでしょうか。大之越古墳の環頭大刀は、当時のヤマト政権と山形をグルーバルかつダイナミックに結び付けてくれます。この環頭大刀と並んで、全長約84 cmの鉄剣、全長約82 cmの鉄刀、鉄鏃(やじり)16本なども展示しています。時を超えて当時の山形の姿に思いをめぐらせていただければと思います。

 プライム企画『女神たちの饗宴 ―「縄文の女神」国宝指定10周年―』の開期は、残り1か月を切りました。皆さまのご来館をおまちしております。そして、常設展示にも改めてご注目ください。

※ 大之越古墳の環頭大刀の図版については、下記アドレスからご覧ください。
   https://www.yamagata-museum.jp/treasures/dainokoshi-kofun

※ 大之越古墳の様子。2番目の写真の中央が富神山です。

<参考>
・『大之越古墳発掘調査報告書』(山形県教育委員会/1979年)
・橋本英将「大之越古墳出土の環頭大刀について」(山形県立博物館『出羽国成立以前の山形』2011年)
・金宇大「刀剣から読む古代朝鮮と倭」(古代歴史文化協議会『第4回古代歴史文化講演会 資料集』2019年)

プライム企画展記念講演会②を開催しました(報告)

 10月1日(土)から、博物館ではプライム企画展「女神たちの饗宴-『縄文の女神』国宝指定10周年-」を開催しております。国宝土偶「縄文の女神」が国宝に指定されてから10周年にあたるのを記念して、全国から国宝土偶(複製)を集め、5体全てを一堂に会して展示しております。
 11月6日(日)は、山形県考古学会会長の阿部明彦先生をお招きし、「縄文の女神」の造形における新しい考察を紹介していただきました。
 「縄文の女神」が他の土偶に比べて赤みがかった肌色が美しく発色されていることから、化粧土による装飾が施されていること、脚部側面に見られる修復痕から丁寧につくられたこと、右脚に重心を置いて今にも前に歩き出そうとする姿を表していることなど、長年「縄文の女神」を観察してこられた阿部先生ならではのお話しを聞くことができました。また、西ノ前型土偶や鼓形の石棒の分布圏が重なることから、蔵王山麓に広がりを見せる文化圏についての考察をお話しいただきました。
 山形県の埋蔵文化財研究に長らく関わられたその経験と知識に基づくお話しは興味深く、たくさん学ばせていただきました。
 講演の後は展示室に移動し、ギャラリートークもしていただきました。お忙しいにもかかわらず、参加者の質問にもお答えいただき、楽しい時を過ごすことができました。

 次回の記念講演会③は11月20日(日)に、(公財)山形県埋蔵文化財センターの小林圭一先生、菅原哲文先生の両名をお招きして開催します。現在、埋蔵文化財調査の最前線に立たれているお二方からお話しをお聞きします。当館ホームページで募集を開始しておりますので、こちらもぜひご参加ください。

プライム企画展記念イベント「体験!縄文のくらし」を開催しました(報告)

 10月1日(土)から、博物館ではプライム企画展「女神たちの饗宴-『縄文の女神』国宝指定10周年-」を開催しております。国宝土偶「縄文の女神」が国宝に指定されてから10周年にあたるのを記念して、全国から国宝土偶(複製)を集め、5体全てを一堂に会して展示しております。
 10月29日(土)30日(日)の2日間は「東北文化の日」無料開館日でした。それに合わせて企画展の記念イベント「体験!縄文のくらし」という、縄文時代の人びとのくらしに関連して体験できるようなイベントを行いました。
 29日は「アンギン編み」「古代風ブレスレットづくり」というクラフト系のイベントでした。複数の糸を組み合わせて織りあげるため、単純な作業を繰り返す根気と努力が必要でしたが、参加した方からは「夢中になれて楽しかったです(宮城県、50代女性)」「親子で楽しく参加できました(南陽市、40代女性)」「ハンドメイドの記念品が良かった(宮城県、20代男性)」といった感想が寄せられました。
 30日は「弓矢チャレンジ」「凹み石でクルミ割り」というアクティブ系のイベントを実施しました。弓で動物の的めがけて矢を飛ばす「弓矢チャレンジ」は大人から子どもまで楽しんでいただけたようです。また、クルミを石でたたいて割る体験は普段できないためか、夢中になってくれる小学生もいました。「イノシシにあたったことがうれしかった(天童市、小学生女子)」「クルミ割りも弓矢も楽しかったです(静岡県、20代女性)」「便利な時代に生活しているので、縄文時代のくらしを自分で体感して、生きていくことの再確認になった(寒河江市、60代女性)」といった感想が寄せられました。多くの方々から楽しんでもらい、職員一同うれしく思います。
 イベントの開催にあたっては、(公財)山形県埋蔵文化財センターと山形県立うきたむ風土記の丘考古資料館の職員からご協力を頂きました。この場をお借りして御礼申し上げます。

 11月23日(水・祝)には「親子で勾玉をつくろう」も行われます。1組で2つの勾玉がつくれますので、こちらもぜひご参加ください。

来館者数2万人突破セレモニー

10月18日(火)に今年度の来館者数が2万人を突破し、記念セレモニーが行われました!
これまでにご来館いただいた皆さま、誠にありがとうございました。

2万人目のお客様は、河北町立谷地西部小学校の皆さまでした。
今回のセレモニーは教育資料館(分館)で行われ、新鮮な光景となりました。

セレモニー後、小学生の皆さまは分館職員による解説を聞きながら、興味深そうに館内の展示を見学していらっしゃいました。

なお、山形県立博物館(本館)では、12月11日(日)まで、プライム企画展「女神たちの饗宴 ―「縄文の女神」国宝指定10周年―」を開催中です。
こちらも連日多くのお客様にお越しいただき、嬉しい限りです。

本館・分館ともに皆さまのご来館を心よりお待ちしておりますので、今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

プライム企画展体験イベント①を開催しました(報告)

 10月1日(土)から、博物館ではプライム企画展「女神たちの饗宴-『縄文の女神』国宝指定10周年-」を開催しております。国宝土偶「縄文の女神」が国宝に指定されてから10周年にあたるのを記念して、全国から国宝土偶(複製)を集め、5体全てを一堂に会して展示しております。
 10月16日(日)は体験イベント「ミニチュア土偶をつくろう」を開催しました。今回は県立村山産業高等学校からご協力いただきました。電子情報科の先生・生徒のみなさんに講師をお願いして、国宝土偶「縄文の女神」の1/2サイズのぺーパークラフトをつくりました。
 3Dデータをもとに、同高校の佐藤和彦先生がデザインしたペーパークラフトは精巧なものです。佐藤先生が作り方の順番をスクリーンに示すと、6人の高校生が一つ一つ丁寧に説明してくれました。小さなお子様から大人の方まで、高校生と一緒に完成させていました。みなさん、出来上がった「縄文の女神」像にとっても喜んでくださいました。
 記念講演会のイベントは、10月29日(土)・30日(日)に「体験!縄文のくらし」が行われる予定です。両日とも「東北文化の日」に伴い無料で入館・参加できます。また、11月23日(水・祝)には「親子で勾玉をつくろう」も行われます。1組で2つの勾玉がつくれますので、こちらもぜひご参加ください。

 

博物館講座④を開催しました(報告)

 博物館では、館長や当館職員、大学の先生などを講師としてお招きし、それぞれの専門分野について、分かりやすく紹介していただく「博物館講座」を年6回実施しております。
 10月15日(土)は当館の細越林太郎研究員を講師として、第4回博物館講座を開催しました。
 講座の題材は「基礎から学ぶ身近な遺伝子の話」です。近年、iPS細胞や出生前診断、ゲノム編集など、遺伝子に関係するニュースが数多く聞かれるようになりました。遺伝子とはどういったものか、最近の研究はどのようなことが行われているのか。今回は遺伝子の基礎から丁寧に解説してもらいました。
 ゲノムや染色体、DNAといった言葉の意味といった基本的な知識から、双子や三つ子が生まれるしくみ、クローン技術についてなど、興味深い内容をできるだけわかりやすく解説してもらいました。また、「DNAを抽出してみてみよう」ということで、実際にバナナを使って実験もしました。最後にエタノールを注入すると、白いふわっとしたかたまりでDNAを取り出したところ、参加者からも驚きと感心の混じった声が聞かれました。遺伝子の研究が未来の私たちの生活に大きな影響をもたらすだろう、そんなことを実感させられたお話しでした。

 次回の博物館講座⑤は12月17日(土)に、当館の生島信行館長を講師として開催します。演題や申し込みフォームなど、詳しくは近日ホームページ上でお知らせしますので、こちらもぜひご参加ください。

プライム企画展記念講演会①を開催しました(報告)

 10月1日(土)から、博物館ではプライム企画展「女神たちの饗宴-『縄文の女神』国宝指定10周年-」を開催しております。国宝土偶「縄文の女神」が国宝に指定されてから10周年にあたるのを記念して、全国から国宝土偶(複製)を集め、5体全てを一堂に会して展示しております。
 10月9日(日)は、文化庁の原田昌幸文化財調査官をお招きし、国宝土偶の持つ魅力や海外で「縄文の女神」を展示した時のことなどをお話しいただきました。
 土偶は、縄文時代の人びとの精神文化を語る貴重な文化財であること、時代を超えて私たちの感性に強く語りかける貴重な文化財であることを、造形のポイントやデザインとしての面白さなどとあわせてお話しいただきました。また、イギリスやフランスでの展示会について、準備から開催にいたるまでの大変だったお話を聞くことができました。
 「縄文の女神」をはじめ多くの文化財の指定に長らく関わられたその経験に基づくお話しはとても楽しく、たくさん学ばせていただきました。
 講演の後は展示室に移動し、ギャラリートークもしていただきました。お忙しいにもかかわらず、参加者の質問にもお答えいただき、楽しい時を過ごすことができました。

 次回の記念講演会②は11月6日(日)に、山形考古学会会長の阿部明彦先生を講師にお招きして開催します。阿部先生は山形県内の遺跡調査に長らく関り、また「縄文の女神」が重要文化財に指定された時には当館学芸員としてご尽力いただいた方です。詳しくは近日ホームページ上でお知らせしますので、こちらもぜひご参加ください。

「縄文の女神」がたくさんいます

 10月9日は何の日でしょうか? 縄文文化の魅力を広める活動をしている任意団体の「土偶の日運営委員会」(現 縄文ドキドキ会)が、10月9日を「土偶の日」という記念日にしようと提唱しました。語呂合わせで、土(10)偶(9)と読めるからのようです。
 
 さて、当館が所蔵する土偶と言えば、真っ先に「縄文の女神」を思い浮かべると思います。ところで、県立博物館には、縄文の女神が何体設置されているでしょうか?
 もちろん本物は一体ですが、館内には多彩なレプリカなどを常設し、ふだんから縄文の女神をより身近に感じたり、触って形を把握したりできるよう工夫しています。いくつかご紹介しましょう。

 まず正面玄関では、木製の「縄文の女神」が皆さんを出迎えます。これは分館である教育資料館にあったモミの木から作られました。立ち枯れの状態になり、倒木の危険があったため、上山市の株式会社三共造園に伐採していただいたのですが、代表取締役の井上睦夫さんの考案で制作していただいたものです。全長は2メートル60センチメートルで、重さは約600キログラムもあります。

 次からは館内に設置している女神たちです。白い「縄文の女神」は、東根市の神町電子株式会社が、自社の3Dプリンターで制作してくれました。アクリル系樹脂製のモデルです。実物大ですが、重さは実物より約1キログラム軽く、制作には65時間かかったそうです。現在、触れる状態にして展示しています。同じスタイルを触って実感することができます。

 次の光る「縄文の女神」は、村山産業高校の生徒さんが、校内のレーザー加工機を使って裁断し、組み合わせて作ってくれたものです。鏡面状のアクリル板材によって近未来的な姿を見せています。附属のケースの上下からは、フルカラーに点滅する県産有機ELに照らされ、幻想的な空間を醸し出します。写真以外のカラーも表現されています。

 青銅製の「縄文の女神」もあります。金属ならではの重厚感が、写真でも分かりますでしょうか。

 これらの女神たちは、博物館のどこかに設置しています。来館の際は、ぜひ探してみてください。

 最後に紹介するのは、新庄神室産業高校の生徒さんが3Dプリンターで制作してくれたものです。ふだんは館長室に設置し、来客の方などをお迎えしていますが、イベントなどでも活用しています。

 現在開催しているプライム企画展『女神たちの饗宴 ―「縄文の女神」国宝指定10周年―』では、「縄文の女神」を含む全国で5点のみの国宝土偶(複製)と、県内外の縄文時代前期から晩期までの多彩な土偶を集めました。考古学の学術価値はもとより、縄文人が制作した美術作品と位置付けても極めて高い評価ができる土偶の魅力や美しさ、奥深さも感じていただけるような展示を心がけました。ご来館をお待ちしています。