館長挨拶

Greetings

「創り、分かち合い、育む博物館」をめざして

2022年4月
山形県立博物館 館長 生島 信行

当館ホームページをご覧頂き、誠にありがとうございます。

 当館は昭和46年(1971年)4月に開館し、本年をもって51年目となりました。東北地方では最も早く設立された県立博物館であり、現在は本館と分館、自然学習園に分かれ、地学・植物・動物・考古・歴史・民俗・教育の7部門を擁する総合博物館となっております。

 本館は、山形市のほぼ中央に位置する国指定史跡山形城跡「霞城公園」内にあります。代表する展示は、ヤマガタダイカイギュウ化石と土偶「縄文の女神」です。小学生2人によって発見され当館で発掘したヤマガタダイカイギュウ化石は、カイギュウ類のうち、この種では世界に一つしかない標本で、カイギュウ類の進化の解明に大きな影響を与えました。また、土偶「縄文の女神」は、日本の土偶の中で最も大きく、学術的に貴重として国宝に指定されました。パリでの展示会など海外でも公開し、縄文人が創作した土偶の造形美は、国内外において多くの人々を魅了してきました。これら世界的にも話題となった二つは、今では山形県のアイデンティティを構成する存在といっても過言ではないと思います。このほかに、県指定天然記念物「ヤマガタダイカイギュウ化石」や、本県の植物のほとんどを網羅する初代館長「結城嘉美氏植物標本コレクション」、最上川舟運に関する資料など、多くの貴重な資料を備えております。

 分館は山形市緑町にあり、明治34年(1901年)建築の旧山形師範学校本館を利用しており、ルネサンス様式を基調とした建物は、国の重要文化財に指定されております。内部では本県の教育のあゆみを展示しております。

 自然学習園は、東村山郡山辺町畑谷の「県民の森」の中にあり、琵琶沼を中心に開設しています。自然のままの湿原の姿が残され、貴重な昆虫や植物が分布しており、県指定の天然記念物になっております。

 コロナ禍となって三度目の春を迎えました。いまだ収束の見通しが立たず、今後の不確実さや不安を抱える中、博物館の社会的役割は何か、改めて自問自答させられました。確実に言えることは、文化芸術、自然科学は不要不急ではなかろうということです。博物館という空間で、本物を直に目にしたときの感動は、幾度も人びとの気持ちを揺さぶり、心を豊かにします。コロナ禍以前は当たり前であった、心が動かされる体験や非日常的な時間などの積み重ねは、人びとの心と生活に、潤いと充実、安定をもたらし、人びとを明日に向かわせる一つの原動力になっておりました。このような機会がコロナ禍によって多く奪われ、日常に大きな制限が加えられる現状にあるからこそ、豊かに生きていくために当館が果たすべき社会的役割はますます増していると思われます。

 ぜひ当館にお越しいただき、心が動かされる体験をたくさん味わってほしいと思います。職員一同、心よりお待ちしております。

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