館長挨拶

Greetings

ごあいさつ

  令和5年4月
館 長  渡 邉  晃

 当館は昭和46年(1971年)4月に開館し、本年をもって52年目を迎えております。東北地方では最も早く設立された県立博物館であり、現在は本館と分館(教育資料館)、自然学習園に分かれ、地学・植物・動物・考古・歴史・民俗・教育の7部門を擁する総合博物館です。
 本館は、山形市のほぼ中央に位置する国指定史跡山形城跡「霞城公園」内にあり、代表する展示は、ヤマガタダイカイギュウ化石と土偶「縄文の女神」(国宝)です。
 ヤマガタダイカイギュウ化石は、昭和53年(1978年)に県内の小学生2人によって発見され、当館で発掘した化石です。カイギュウ類のうち、この種では世界に一つしかない標本で、カイギュウ類の進化の解明に大きな影響を与えました。また、土偶「縄文の女神」は、国内の土偶の中で最も大きく、学術的に貴重であるとして平成24年(2012年)国宝に指定されました。海外における展示会でも公開され、縄文人が創作した土偶の造形美は、国内外において多くの人々を魅了しています。このほか、県内の植物のほとんどを網羅する「*結城嘉美氏植物標本コレクション」や山形県の「母なる川」最上川の舟運に関する資料など、多くの貴重な資料を備えています。
 分館(教育資料館)は山形市緑町にあり、明治34年(1901年)建築の旧山形師範学校本館を利用しています。ルネサンス様式を基調とした建物は、国の重要文化財に指定されており、内部には本県の教育のあゆみを展示しています。
 自然学習園は、東村山郡山辺町畑谷の「県民の森」の中にあり、琵琶沼を中心に開設しています。自然のままの湿原の姿が残され、貴重な昆虫や植物が分布しており、県指定の天然記念物になっております。

 新型コロナウィルス感染症に翻弄されたここ三年間でしたが、人類が積み上げた知見と私たちの努力により、ようやく「ポストコロナ」のときを迎えつつあります。
 コロナ禍にあって、博物館への来館をためらっておられた方も多数いらっしゃることと存じますが、今年度は是非、当館に足を運んでいただき、素晴らしい展示の数々を間近でご覧いただければと願っております。博物館という特別な空間で、「本物」を直に目にしたときの感動は、人びとの心を揺さぶり、気持ちが豊かになることでしょう。特に感性豊かな児童・生徒の皆さんにとっては、かけがえのない体験になるはずです。そうした観点からも、当館が果たす社会的役割はとても大きいものと感じています。

 職員一同、皆様のお越しを心よりお待ちしております。

          
*結城嘉美氏は山形県立博物館初代館長です。

この記事をシェアする: