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2011/09/15

学芸員に突撃インタビュー♪ ~動物編~ その2

Tweet ThisSend to Facebook | by y001

インタビューその2です。
さっそくどうぞ!

(3)新種の発表について

特別展の展示図録や「山形県立博物館研究報告」など先生が書かれたものを読んだのですが、
どうすれば新種になるか簡単に教えてください。
国際動物命名規約というものがあって、それに沿って命名するのが前提。
標本があって、それについて図や写真を入れて論文を書いて、
印刷物(学会誌や本など)に掲載されると新種。
日付が早いものが採用される。

本当は新種ではなかったなどと、あとから覆ったりするのですか?
他の研究者が調べたり、自分自身で研究を進めていって覆ることもある。
そのときは、名前は先に記載されたものが採用されるんだけど、
採集した標本は保存していかなければならないし、論文も有効なものとしてそのまま扱われる。
発表した人は様々な方法で調べていると思うが、なかなか調べきれないものもある。
もちろん、いいかげんな論文は雑誌に載せてもらえないから(笑)

先生はどのくらい新種を発表したのですか?
共著など、かかわったものすべてを含めると今年の6月までで99種。
1979年に初めて新種を発表して、このときは学生だったんだけど。

99種もですか!!
そもそも、初めて発表したころ私生まれてないです(笑)
学生が新種を発表することはよくあることなのですか?
そうはないかなぁ。
今年中には100種を達成したい。
ただ、その中にも残念ながら本当の新種じゃなかったのもあったりするんですよ(笑)
自分で研究を進めていくうちにわかったものなどが、いくつかあったりするんですけど。
しょうがないですね、なかなか世界中に調べには行けないので。

クモの研究は昔からされているんですよね。世界中の古い論文を調べるのも大変なのでは?
1700年代から研究はされていて、昔はほんとに図すらないような簡単な記載しかなくて。
ヨーロッパなどのクモは何回も論文にでてくるからいいけど、
東南アジアのクモなんかはあまり論文に出てこないし。

(4)クモの研究について

クモは分かっているだけで何種類くらいいるんですか?
だんだん増えている。今は4万種くらいじゃないかなぁ。
名前のついてないものもあるので、10万種以上いると思う。

先生が新種として発表したクモはどこで採集したものですか?やっぱり山形?
山形はほんとにごくわずか。1桁くらいかな。
日本国内全体でいうと、発表したうちの約半分くらいの55種くらいだね。
あと多いのは台湾の23種。

採集するときは、無差別に捕まえる?それとも現地で調べながら狙って捕まえる?
捕まえてから調べるしかないねぇ。いそうな場所で採集することはある。

体の構造などを調べて、それによって分類するんですよね。
クモの巣の張り方とか食べているものとか、
生態を専門に研究している研究者もいるのですか?
そうですねぇ。いろいろと手を広げるのはなかなか難しいから。

先週学会があったそうですけど、クモの学会ってどんな感じなんですか?
学会は研究の発表をするところですけども、研究の分野でわかれて発表したりするんですか?
何か共通のテーマにまつわる発表をするのですか?
クモは会員自体が多くないから、いろんな分野の研究の発表をすべて一緒にするけど。
会員自体が多ければわかれるだろうけどね。
昔は発表した人が発表していたけど、今はテーマについて話し合ったりというのもある。

クモの学会はどのくらいの規模なんですか?
会員は300人くらいで、大会の参加者は70人くらい。
そんなに多くないですから。

全部日本語で発表するのですか?
当然。国際学会だと英語だけど。

先生も発表したりするんですか?
時々。今年はしなかったけど。

他の研究者の方の発表を聴いていて、疑問点などが出てきて質問したりするんですか?
学会だとなかなか時間がなかったりするので、また別の機会にってことが多いですね。

写真:学会のネクタイ
左:日本蜘蛛学会のネクタイ
右:イギリス蜘蛛学会のネクタイ
さりげなくおしゃれ♪
デザインされているクモの刺繍は実物に忠実なんですよ!
学会の時は必ず着用すべし!というわけでもないらしい・・・

やっぱり世界中の研究者の方々とやり取りをしているのですか?
なかなか自分で外国へ出かけて行って標本を取るのは大変なので、外国にいる人がとって
名前がわからないものをグループでわけたりして、送ってもらっている。
そういうのがほとんど。なので、その分野のものが集まるわけですね。
最近はほかの研究者がとって送ってくれたものの中から新種を発見するのが比較的多いなぁ。

新種の発見をめぐってけんか・・・なんてこともある?
そんなことにはならない(笑)

標本は、採集者・採集場所・採集年月日が必要ですけど、採集場所はGPSなどを利用するのですか?
そこまで詳しくなくても、その国と地名くらいあれば大丈夫だけど。
まぁ、緯度経度があればもっと丁寧で分かりやすいですね。

写真:執筆中の論文の一部
執筆中の論文の一部を特別に見せてもらいました。
全部英語で書かれているうえに専門用語が多かった・・・

論文を書くときは英語?日本語?
新種の時は世界中の人が見てわかるような形にしないといけないので、英語。
だけど、日本語でも可能かも。
掲載されるものによるけど、クモの学会誌とかだとほとんど英語だね。
日本語の部分もあるけど、やっぱりこういう論文は英語だね。
今100種目のものの論文を書いているんだよ。

しょっちゅう学会誌に掲載されているんですね?
比較的ね。
2000年頃が頑張ってたかな。台湾の雑誌にも掲載されたし。
(雑誌を探しながら)あ、2010年のがないや。

書いてすぐに掲載されるわけではないってことですか?
そうだねぇ。編集者一人だけが見るわけではなくて、
編集委員の人が何人も見ながらだから。
直せと返ってきたり、最悪だと掲載しないなんてこともあるしね。

出そうと思っていた内容の論文を先に出されたことは?
完全に同じテーマのはないんじゃないかなぁ。
同じものを研究している人はそれほど多くないからね。
まぁ、全くないわけじゃないけどね(笑)

クモについてだんだん気になってきたところですが、
つづきは・・・その3にて!!
12:00 | 担当者 K.A