博物館では特別展「雪害調査所(せつがいちょうさしょ)-松岡俊三の戦い、そして地域振興の民芸品-」を開催しています。
雪害調査所は、今から80年前に現在の新庄市に作られた、国の研究機関です。雪を害としてとらえ、それを克服して人々がよりよい生活を送れるようにするための調査・研究・指導を行なっていました。
雪害調査所の設立のきっかけとなった「雪害救済運動」を呼び掛けたのは、村山市楯岡出身の衆議院議員松岡俊三(まつおかとしぞう)です。
ある冬、松岡俊三が肺炎で済生館(山形市立病院)に入院した時、次々に小さな子どもたちが運ばれてきたのだそうです。なかには治療のかいなく、命を落とす子も…。それを目の当たりにし、こんなことを考えたそうです。
「病院に来られずに苦しんでいる子どもはもっといるだろう。 なぜこれほど苦しまなければならないのか。 それはこの雪のせいだ!」
積雪がおよぼす害を災害(雪害)として認識し、台風や地震の被害と同じように国が救済すべきだと考え、訴え続けました。そして積雪地方の住民たちに雪害救済運動への参加を呼び掛けました。次第に松岡の地道な努力が認められるようになり、住民たちによる後援会も各地にできました。
ついに、積雪地方の救済措置と雪害対策調査を行なうことが政府に認められました。そして設置されたのが雪害調査所です。
雪害調査所では、雪の実態を調査すること生活をよりよくするための研究をすること冬季間の農家の副業を考え、指導することなどを行なっていました。
松岡俊三は、山形県に生まれ、冬季間の住民の苦労をよく知っているからこそ、雪国の人々の幸せを願い、行動したのですね。調査所の方々や、その調査に協力した住民たちの熱い思いも伝わってくるようです。
展示期間は12月8日(日)までとなっています。11月23日(土)には展示解説会があります。12月1日(日)の館長・学芸員講座では、展示会担当学芸員より雪害調査所についてのお話があります。くわしくはコチラ是非お越しください♪♪