館長室だより(平成24年度)

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2012/10/10

10月の窓

Tweet ThisSend to Facebook | by y0000

 9月22日の秋分の日を過ぎても最高気温が30度を超える日があり、記録的な残暑となりましたが、10月に入り、やっと秋らしい涼しい日を迎えることができました。
 山形は、フルーツ王国と言われるほど季節の果物が豊富ですが、秋にはぶどう、りんご、ラ・フランス、柿などが店先に見られるようになります。柿を詠んだ俳句としては、正岡子規のものが有名ですが、芭蕉も柿を詠んだ句を残しています。

   柿くへば 鐘が鳴るなり 法隆寺 ……… 子規
   里ふりて 柿の木もたぬ 家もなし ……… 芭蕉

 どの家にも柿の木があり実がなっているのを、芭蕉が故郷の伊賀上野(三重県)で詠んだものと言われています。

 9月を振り返ってみると、本館が所蔵する西ノ前遺跡出土土偶「縄文の女神」が正式に国宝に指定されるといううれしいニュースがありました。4月20日、文化審議会が「縄文時代の土偶造形のひとつの到達点を示す優品として代表的な資料であり、学術的価値が極めて高い」ことを理由に、国宝に指定するよう文部科学大臣に答申したことは前にも書きましたが、9月6日の官報に告示され、正式に国宝になりました。通常は、文化審議会の答申から官報告示までは2か月程度かかると言われていますが、今回は4か月以上かかったことになります。新聞やテレビでも大きく取り上げていただき、結果的には企画展「豊穣と祈り」の最終日まで、多くの方に来館していただくことになりました。県立博物館でも、6日の朝、急遽垂れ幕を作って玄関に飾ったところです。




 15日(土)には、霞城公園内での植物観察会があり、多くの人が参加してくださいました。5月に続いて今年度2回目の観察会でしたが、毎日霞城公園に来ていても、桜以外はあまりわからないので、私も参加させてもらいました。最初の写真は、植物担当の先生がプラタナスの説明をしているところです。霞城公園内には、スズカケノキ、アメリカスズカケノキ、モミジバスズカケノキの3種類のプラタナスがあるそうです。「スズカケ」という名のとおり、プラタナスには、スズのように丸い実がなっていることも教えていただきました。次の写真に、プラタナスの実が写っているのがわかるでしょうか。

   
 次の植物は「ヤハズソウ」で、ヤハズとは矢筈(=矢の上端の弓の弦を受ける部分)からきているそうです。この葉を左右に思いっきり引っ張ると、次の写真のようにちぎれます。矢筈という名前がつけられたのにも、納得がいきました。次回は、3月下旬に春の植物観察会があります。


 17日には、天童市の西沼田遺跡公園から講師をお招きして、体験イベントを実施しました。西沼田遺跡公園では、火起こし、土器作り、古代食体験などの縄文時代を体験できる活動を行っておりますが、当日は、本館の講堂でも実施できるものとして、勾玉作り、アンギン編み、ジュズダマクラフト作りを体験していただきました。アンギン編みとは、糸を縦と横に編んで作る敷物で、私も挑戦してみました。思ったより簡単に作ることができ、家でビールを飲む時のコースターとして使っています。写真は、勾玉作りの説明をしているところと、その説明を聞いて、親子で作っているところです。


 館長室だよりの「7月の窓」で、巨大な木彫りの「縄文の女神」を博物館前に飾っていただくことになったことを書きましたが、来館者だけでなく、博物館前の道路を通行する人にも強烈な印象を与えてくれたようで、木彫りの女神の前で記念写真を撮っている方が、多数見られました。この女神は、「かみのやま温泉全国かかし祭」に出品するために三共造園で作られたものでしたので、9月中旬に本館からかかし祭へと移動することになりました。かかし祭は、15日から23日まで上山市民公園で開催され、私も女神を見るために行ってきたところ、一般かかしの部で「準特選」に入賞していました。会場には、もう一体の女神があり、こちらは、山形県埋蔵文化財センターで作ったものでした。最初の写真が本館に飾られた女神で、次の写真が埋蔵文化財センターで作ったものです。

  

 最後に、本館で展示しているものとして、今月は「大之越古墳出土品」を紹介します。大之越(だいのこし)古墳は、山形市で昭和53年に発見された直径約16メートルの円墳で、5世紀の終わりごろ山形周辺を支配した豪族の墓と考えられています。古墳からは、環頭大刀や馬具などたくさんの副葬品が発見されました。環頭大刀とは、柄頭(つかがしら)に環状の飾りをつけた大刀のことで、北方遊牧民を起源として中国で発達し、日本の古墳時代にも使われたものです。本館の環頭大刀は長さが90センチ以上あり、古代朝鮮半島で作られたものと言われています。写真は、上から順に鉄剣、直刀、環頭大刀です。最後の写真は、環頭大刀の柄頭の部分を拡大撮影したものです。大之越古墳出土品は、昭和54年5月、県指定有形文化財(考古資料)に指定されました。

 


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