今朝(15日)、ハス田に漂う3羽のオシドリ(雌)を見かけてきました。まもなく県内の水田一面に水が湛えられ、いよいよ田植えが本格的に始まります。まさに、新緑若葉に映えて気持ちのいい風が吹く季節を迎えました。松尾芭蕉が江戸深川から奥の細道に旅立ったのもこの時期と聞くと、田植えの情景を眺めながら歩き始めたことに合点がいきます。
さて、今回は、この季節に相応しい山形県立博物館附属自然学習園を紹介します。山形市から西方へ直線距離にして12㎞のところに「県民の森」があります。この一帯には、畑谷大沼をはじめ数十カ所の湖沼群があります。これらの湖沼群の中で、とりわけ琵琶沼は年間を通じて水が涸れることのない泥炭層からなる湿原が発達しており、めずらしい動植物が多産します。当博物館では、この貴重な湿原と動植物の保存・活用をはかり、県民の自然を愛護する心を育てるために、1976年琵琶沼とその付近一帯を「山形県立博物館附属自然学習園」として開設しました。
下見を兼ねて、周囲1㎞の琵琶沼を遊歩道の整備をしながら散策すると、湖面には、ミツガシワ(咲き始め)・ヒメカイウ(6月頃)、遊歩道にはフイリシハイスミレ(終わりかけ)・タチツボスミレ・ゴマギ・ヤマツツジ・オオカメノキなどの草花、そしてたくさんのイトトンボ類や湖面から飛び立つ青鷺が目に入りました。また、ゴマギを指で擦ってにおいをかぐと、その名の通りゴマのにおいがしました。
ぜひ、新緑の中でめずらしい動植物を観察してみてはいかがでしょうか。
※自然学習園で奮闘中の姿 本日、3日間の「職場体験学習」が終了しました。2つの中学校から6名の明るく元気で個性的な生徒さんが、さまざまなプログラムに熱心に取組んでくれました。最後に「博物館とは」の問いに「山形や昔のこと、興味あることを知りたい人が来る場所で、後世の人に伝える役割がある。」とまとめてくれました。山形県の太古からの歴史(時間的なつながり)と山形県を構成する4つの地域の特色(空間的なつながり)の一端を感じてもらえたものと嬉しく思いました。
最後に、プライム企画展「『縄文の女神』と『遮光器土偶』-縄文の美と宝-」のご案内をさせていただきます。東北各地から出土した縄文期の土偶が一堂に会します。その魅力に触れていただければ幸いです。30日の開展式から、さまざまなイベント(詳細はこちらでご確認ください→☆)を組み入れ、9月6日まで開催されます。多くの皆さんのご来館を心よりお待ち申し上げております。