館長室だより(平成24年度)

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2012/09/05

9月の窓

Tweet ThisSend to Facebook | by y0000
 「暑いですね」が毎日のあいさつに定着したぐらい暑い日が続いています。山形の8月の最高気温を調べてみたら、30度を下回った日は2日だけで、30度以上の真夏日が29日ありました。そのうち最高気温が35度以上の「猛暑日」は10日となっており、残念ながら、9月上旬もこの猛暑は続くようです。
 蜻蛉(とんぼ)は、夏の暑いうちから飛びかいますが、俳句では秋の季語になっています。秋の訪れを感じるようになると、赤とんぼ(秋茜=あきあかね)が見られるようになります。暑さのせいか、今年はまだ赤とんぼを見ていないような気がしますが、皆さんはどうでしょうか。ちなみに、ある本によると、赤とんぼの山形での初見日の平年値は、8月16日となっているそうです。芭蕉の俳句にも蜻蜒(とんぼう)を詠んだものがあります。

   蜻蜒や とりつきかねし 草の上

 県立博物館にも、蜻蛉はたくさん展示しております。写真のように、アキアカネもいます。


 8月4日(土)と5日(日)に、本館では初めてのナイトミュージアムを開催しました。これは、昨年、東北芸術工科大学の学生と本館職員が「県立博物館の来館者をどう増やす」というテーマでアイディアを出し合い、山形新聞に掲載された連載記事を受けて、今回実現したものです。芸工大の学生が提案した企画は、「日中、博物館内の照明を消し、窓から入ってくる明かりもすべて遮って、真っ暗にした博物館内を懐中電灯一つ持って探検、展示品を鑑賞しよう」というものでした。本館で検討した結果、16時半に一度閉館し、17時半から20時まで再度開館することとし、展示室の照明をぐっと落として、普段とは趣を変えてご覧いただく他に、光る石「フローライト」を展示したり、NPO法人小さな天文学者の会の皆様による簡易プラネタリウムを開催したりしました。どれくらいの人が来てくださるか不安でしたが、4日に115名、5日に113名という多くの方々にご来館いただきました。アイディアをくださった芸工大の皆さん、ありがとうございました。ナイトミュージアムの様子は、本館ホームページの「イベント報告」で詳しくごらんいただくことができます。

 8月には、高校生や大学生を対象とした講座や実習がいくつかありました。8月7日と8日には、高校生のための「学芸員一日体験講座」がありました。この講座は、平成16年に始まったもので、山形県高等学校文化連盟との共催で行っております。今年度は、7日の人文系と8日の自然系の講座に、約50名の高校生が参加してくれました。写真は、古文書の学習と押し葉の標本づくりに取り組んでいるところです。


  8月20日には、山形大学で「博物館実習」を受講している学生が、博物館見学に来てくださいました。この実習は、山形大学が学芸員の資格取得を希望している学生を対象に毎年行っているもので、4日間の実務実習のうちの1日を他館見学として、県立博物館と山形県郷土館(文翔館)の見学に当てているものです。学芸員の資格を取得するために大学において修得すべき「博物館に関する科目」はこれまで8科目12単位でしたが、今年度から9科目19単位と見直され、大学で学芸員の資格を修得するのもこれまでよりも難しくなりました。そのため、この実習を受講する学生もそう多くないと思っていたのですが、当日は、42名もの学生が来館されました。さらに、今回の実習は第1期のもので、9月には第2期の実習が予定されており、その時も約30名の学生が来ることになっております。
 8月30日からは、本館が主催している「博物館実習」が始まりました。先ほどの学芸員の資格を取得するために大学において修得すべき「博物館に関する科目」の一つに「博物館実習」というものがあり、その科目修得のための一部として本館で実施しているもので、12名の学生を対象に6日間の日程で行っております。開講式で、受講者の自己紹介を聞いたら、高校のとき「学芸員一日体験講座」に参加した学生や、小学校の頃よく博物館に来たという学生もいて、うれしくなりました。写真は、本館での博物館実習の「人文系資料の取り扱い」の一部で、ムカサリ絵馬の説明を受けた後、絵馬を実際に梱包しているところです。ムカサリ絵馬とは、幼い時になくなった子どもなどが結婚適齢期になった頃に、死者を供養するため、また遺族の慰めとして架空の結婚式を描き、寺社に奉納されたものです。


 8月は夏休みの時期でもあったので、小学生を対象とした「夏休み体験教室」や「自由研究相談」も実施しました。夏休み体験教室では、化石のレプリカ作りと勾玉つくりを2日ずつ開催し、自由研究相談では、児童の話を聞いてから、研究のしかたやポイントなどを、児童が主体的に研究できるよう、担当職員が支援してきました。ある日、本館の解説員から「館長に聞きたいことがあるという小学生が来ているので来てもらえますか」と連絡があったので、行ってみると「館長から見た霞城公園のおすすめスポットはどこですか」という質問でした。「霞城公園は四季それぞれいいところがありますが、桜の散る頃北門近くのお堀の水面が、花びらで覆われるのが気に入っています」と答えました。


 写真は、小学生が自由研究の相談に来ているところと、お堀の水面が桜の花びらで覆われているところです。

 最後に、本館で展示しているものとして、今月は「生石(おいし)2遺跡出土弥生土器」を紹介します。この土器は、酒田市生石(おいし)地区の紀元前2世紀ころのムラから出土した県内最古の弥生式土器ですが、表面には縄文土器の紋様もまじっています。しかし、これらの土器からモミのあとがみつかり、炭化した米も出土していることから、米作りの始まりを証明するものとも言われています。従来、稲作は西からしだいに東に伝わってきたと言われてきましたが、その他にも、舟で海岸線を北上して直接伝えられたものもあることがわかってきました。写真は左から甕(かめ)、高坏(たかつき)式土器、壺となっており、昨年12月、県指定有形文化財に指定されました。本館第2展示室を入ってすぐのところに常設展示しております。


 

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