館長室だより(平成24年度)

館長室だより >> 記事詳細

2012/04/12

4月の窓

Tweet ThisSend to Facebook | by y0000
館長室だより

 平成24年4月、山形県立博物館に赴任しました館長の佐竹です。
 博物館の勤務は初めてですが、新任の館長から見た博物館の様子や来館者の状況などに加えて、博物館のある霞城公園や山形市のこと、そして他の博物館の催し物など、毎月気ままに書いていきたいと思います。

山形県立博物館
館長 佐竹 俊明


 
 博物館に赴任する前は、山形県立南陽高等学校に4年間勤務しておりました。南陽高校でもホームページに毎月「校長室だより」を載せて、学校や生徒の様子そして地域の行事などをお知らせしてきましたが、毎月一番悩むのは、最初に何を書くかということでした。どうしても季節に関する話題が多くなり、その時期に関係のある俳句や短歌なども紹介してきました。
 
 今回は、まず、博物館のある霞城公園のことを紹介します。霞城公園は山形市の中心部にあり、山形駅から歩いて10分ほどの距離にあります。山形城(霞ヶ城)跡の城址公園で、市民の憩いの場になっています。1600年の関ヶ原合戦の時、山形領に攻め込んだ上杉方の直江兼続が山形城を望んだところ、霞がかかって何も見えなかったことから「霞ヶ城」と呼ばれるようになり、そのため現在も「霞城公園」と呼ばれているそうです。公園内には、スポーツ施設としての市野球場、県体育館、県武道館などに加え、文化施設としての県立博物館や山形市郷土館(済生館)などがあります。また、公園周辺には、山形美術館や最上義光歴史館もあります。また、桜などの多くの木や花があるので、散歩に来る人もたくさんいる公園です。
 南陽高校に勤務していた時の最初の卒業式で、詩人丸山薫の「白い自由画」という詩の話をしたことがありました。その詩に、まんさくの花が出てくるのですが、金縷梅まんさくは、早春に黄色い花がいっせいに咲く低木で、他の花よりも早く咲くことから「まず咲く」がなまって「まんさく」になったと言われています。ただ、豊年満作から「満作」や「万作」の字を当てることもあるそうです。当時、南陽高校の近くに金縷梅がないかとさがしてみましたが、見つけることができずに、霞城公園にあると聞いたので、探しに来たことがありました。先日、その時見た金縷梅のある所に行ったら、残念ながら切られてなくなっていました。
 霞城公園は、桜の名所としても有名なので、桜の季節には多くの人が花見にやってきます。私も、ここ数年に2~3回友人と花見に来ました。この冬の大雪と低温の影響で、桜の開花は平年より遅れぎみですが、霞城公園の桜も20日頃の開花という予報がありました。桜が咲くまでは、待ち望む気持ちが強いのですが、一度咲くと今度はいつ満開になるのかと気になり、満開になればなったで今度はいつ散ってしまうのか心配するということになります。こんな気持ちを詠んだ歌を高校の時に習ったのを思い出しました。

  世の中に  絶えて桜の  なかりせば  春の心は  のどけからまし

 「伊勢物語」にある在原業平の歌で、「世の中に桜というものがなかったなら、春をのどかな気持ちで過ごせるだろうに」という意味だそうです。
 館長室からもたくさんの桜が見えますが、そのうちの1本は、芽が大きくなっていました。写真ではまだわかりにくいですが、咲き始めたら、ホームページにアップしたいと思います。



 博物館には、常に見ることのできる常設展と、特定の時期に特別に展示したものを見ることのできる企画展・特別展というものがあります。企画展や特別展では、普段見ることのできないものが展示されるだけに、多くの来館者がありますが、常設点でも、興味を惹くものがたくさんあります。私は、たまに博物館に来ることがありましたが、1月末にたまたま来たときは、常設展の「県内の白鳥飛来地」の展示に目がいきました。それまでは、気にもとめず通り過ぎていたと思いますが、たまたま山形新聞で「南陽市の吉野川にも白鳥が来ている」ことを読んでいたので、惹かれたのだと思います。県内の飛来地としては、酒田市の最上川河口や鶴岡市の下池などが有名ですが、その展示には、米沢市や飯豊町も飛来地として載っていました。でも、南陽市の吉野川はなかったので、興味があって見てみたのでした。次の写真は、1月に国道13号線を米沢に向かって高速南陽米沢道路の入り口手前から少し西に入ったあたりで撮ったものです。


 博物館は、いろんな展示を見る所という印象が強いかもしれませんが、子どもから大人までの県民各層を対象とした教育・普及活動も行っております。具体的には、今年度は、古文書講座、考古学講座、親子博物館教室、学芸員1日体験講座などを予定していますが、他にも館長と学芸員がそれぞれの専門分野の調査研究を紹介する館長・学芸員講座というものもあります。館長講座は平成16年に始まり、平成18年と19年には、私も受講させていただきました。平成18年の館長は万葉集が専門の国語の先生で、さまざまな資料をもとに万葉集を詳しく解説してくださいました。平成19年の館長は工業が専門の先生で、紅花染めの体験をさせていただきました。博物館にはこういう役割もあるのかと感激したのを覚えていますが、特に専門的な分野を持たない私としては、ちょっと重荷の講座となりそうです。
 
 現在、博物館では「私の宝物」という企画展をしています。県立博物館のさまざまな事業を支援してくださる「山形県立博物館友の会」との共同企画で、友の会会員が持っている「たから」と博物館が所蔵する「たから」を展示しています。「最上時代山形城絵図」と「最上時代山形城下絵図」、明治44年の山形大火の絵葉書、大正4年の馬見ヶ崎川の大洪水の絵葉書などに加え、明治時代に発行された山形錦絵も展示されています。錦絵とは多色刷りの版画のことで、旧県庁(現在の文翔館)前の通りや、旧済生館(現郷土館)の建物などが描かれ、説明によると、当時の八文字屋の五十嵐太右衛門氏が出版したものだそうです。5月6日までの展示となっていますので、興味のある方は是非一度ご覧ください。


09:00