館長室だより(平成24年度)

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2013/03/01

3月の窓

Tweet ThisSend to Facebook | by y0000
 館長室だよりの「2月の窓」に、「2月10日前後に寒波が来ることもよくあり」と書きましたが、今年は2月末の強い寒波が大雪を降らせることになりました。それでも、3月3日が雛祭り、5日が啓蟄と続き、雪国にも着実に春は近づいてきています。
 雛祭りは、雛人形を飾って雛料理を作り、女の子の幸せを願う行事です。桃の花を飾ることから、桃の節句とも言います。元来は旧暦の3月3日(太陽暦では4月上旬頃)の行事でしたが、明治になって新暦が採用されてからは1か月早まり、現在の3月3日の行事となったそうです。旧暦ならばちょうど桃の花が咲く頃なので、桃の節句とうい名称がぴったりあてはまりますが、新暦では桃には少し早いですね。雛祭りを詠んだ俳句はたくさんありますが、2つ紹介します。

たらちねの 抓(つま)まずありや 雛の鼻 ……… 蕪村

 お雛さまの鼻はとてもかわいいので、お雛さまに母親があればきっとつまんだだろうという句だそうです。

草の戸も 住(す)み替(か)はる代(よ)ぞ ひなの家 ……… 芭蕉

 「奥の細道」で最初に出てくる句で、みちのくへ旅立つことになった芭蕉がこれまで住んでいた芭蕉庵を人に譲ることになり、別れのあいさつとして詠んだ句です。新しい住人には女児がいると聞き、お雛さまが飾られはなやいだ家になるだろうと詠んだものだそうです。
 山形県では、ほとんどの市町村で雛祭り関連のイベントが開催されますので、調べてごらんになってみてはどうですか。3月から4月にかけてのイベントが多いようですが、2月から始まっているところもあります。博物館でも、入り口に写真のようなお雛さまを飾りました。3月9日(土)には、お雛さま研究家安部英子さんの講演も予定しております。詳細は、ホームページの講演会の案内をご覧ください。



 博物館や美術館にとって、冬期間はどうしても入館者が少なくなる時期で、本館も例外ではありません。12月と1月の入館者は、前月までと比べると大きく減少しました。しかし、2月は大雪の日もあったのに、多くの方に入館いただきました。吹雪でリフトが止まったので蔵王から来てくださったスキー客や、子どもさんの大学受験で来られたお父さんやお母さんもいました。いずれも県外からの方で、ありがたいものです。
 また、山形市内の小学校からも、多くの団体に来ていただきました。今月は3年生の団体が多かったのですが、「昔のくらし」に関する勉強の一環で、博物館が展示しているいろんな道具を見学していってくれました。ある小学校の児童は、農耕具を展示している所に来た時、「あ、唐箕(とうみ)だ。千歯(せんば)もある。」と言って目を輝かせていました。私は毎日見ている農耕具ではありますが、正直その使い方もよく知りませんでした。どうして小学3年生が知っているのか不思議に思いたずねてみると、「米作りで使ったことがあります。」との返事でした。その後で引率の先生から、「1年間米づくりの勉強をしてきたグループなので、田植えから稲刈りまで体験してきたのです。」と教えていただきました。最初の写真が唐箕で、風を送って実の入った籾とそうでない籾を選別したり籾殻と玄米を選別したりする時に使います。次の写真が千歯です。細い鉄片が歯のように植え込まれ、稲の穂をしごいて籾を落とすのに使用します。


 30年前山形を主な舞台として放送され、社会現象にもなった「おしん」が今年映画化されることになりました。今回の映画化では主人公おしんの少女時代に焦点を当てておしんの成長する姿を描いていくそうですが、2月中旬から県内での撮影が始まりました。この映画に、県立博物館も協力することになりました。昔の道具を貸してほしいとの依頼があったのです。大根などを切る時に使うカテキリや、団子をさして座敷に飾る団子木、小型の鏡台などをお貸ししました。最初の写真がカテキリで、実際に大根を切ったところいい切れ味で細かく切ることができました。次の写真は紙腔琴(しこうきん)と言われるもので、オルゴールの一種です。穴のあいた楽譜を取り付けてハンドルを回すと、メロディーが流れるようになっています。これらの道具がすべて映画で使われるわけではありませんが、ごらんになる方は何が使われるかも注意してごらんになってはどうでしょうか。映画は10月に全国で上映されるそうです。


 県立博物館には、年間を通して多くの小学校から児童に来ていただいておりますが、それに比べると、中学や高校との連携が少ないと感じていました。しかし今年度は、「サイエンス・パートナーシップ・プロジェクト」(SPP)を実施している天童高校の生徒さんに、何度か博物館に来ていただきました。SPPとは、大学や各種研究機関が協力して、高校生に理科や数学の楽しさを体験してもらおうという事業です。天童高校の生物選択者約50名が、博物館の職員や外部講師から、菌類の培養や生態などについて、より専門的な講義を受け、実験・実習を行うというものです。全部で4回来ていただきましたが、2月に最後の講義と実習がありました。今回は、筑波大学菅平高原実験センターの先生に講師としておいでいただきました。


 最初の写真は説明を受けているところで、その次の写真は、真剣に実験に取り組んでいるところです。

 毎月紹介している本館のお宝として、今月は、本館の附属自然学習園となっている「琵琶沼」を紹介します。琵琶沼は、山形市から西に12キロほど離れた「県民の森」にある沼です。このあたり一帯には多くの湖沼がありますが、琵琶沼では湿原が発達しており、珍しい動植物が見られます。植物では、主に北海道に分布しているホロムイソウやヒメカイウ、動物では生息地が限られているマダラナニワトンボなどが一例です。この貴重な湿原と動植物の保存・活用をはかるために、県立博物館では1976(昭和51)年に琵琶沼とその付近一帯を「附属自然学習園」として開設したのです。2年後の1978年には、県の天然記念物に指定されました。最初の写真は沼の入り口にある案内板で、次の写真は沼の一部を撮影したものです。開園時間や休園日は特に定めていませんが、冬期間は雪も多いので入園はご遠慮いただいております。この写真も夏に取ったものですが、毎年、本館の職員と山形大学の先生が合同で調査を行っております。

 
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